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東日本大震災6年半、海への思い語ろう 千葉・旭、文芸賞2回目募集

社会 | 神奈川新聞 | 2017年9月12日(火) 11:26

津波や海を題材にした作品を被災者自らが朗読した第1回「旭いいおか文芸賞『海へ』」の本審査=昨年3月、千葉県旭市
津波や海を題材にした作品を被災者自らが朗読した第1回「旭いいおか文芸賞『海へ』」の本審査=昨年3月、千葉県旭市

 東日本大震災で首都圏最悪の津波被害に見舞われた千葉県旭市の被災者らが昨年創設した文芸賞が今年も行われることになり、今月から作品募集が始まった。テーマは、神奈川を含む各地から1600点を超える作品が寄せられた前回と同じ「海」。「海は悲劇だけをもたらすのではなく、私たちの暮らしになくてはならないもの」。そんな思いも込めながら、6年半前の苦難をそれぞれの言葉で語り継ごうとしている。

 〈私はそのとき下校途中でした。ですが、海の付近に住んでいた人々は、津波によって、家や車が流され、中には、亡くなった人も多く存在しています〉

 〈私は幼稚園のバスで帰るところでした。(中略)その後、津波がきました。あの時は何も考えていなかったけど、今考えたらすごく怖くて〉

 今年3月、旭市内で行われた第1回「旭いいおか文芸賞『海へ』」の本審査会。地元の小中学生が、6年前に目の当たりにした震災の現実を等身大の言葉で表現し、会場に詰めかけた人々の胸を打った。復興住宅で暮らす90代のお年寄りまで幅広い世代から1681点が寄せられ、予備審査で入選となった52点の作者が海に対する思いを込めた作品を朗読した。

 九十九里浜の東端に位置する旭市では、漁港のある飯岡地区に津波の被害が集中。同地区を中心に13人が死亡し、今も2人が行方不明のままだ。マグニチュード(M)9・0の超巨大地震から2時間40分後に押し寄せた第3波でさらわれた人が多く、避難の在り方に大きな教訓を残した。

 しかし、その経験が歳月の経過とともに忘れ去られていくことへの危機感が地元には強い。浸水被害から再建を果たしたホテルの一角に市が整備した資料館もあるが、被災者が中心となって当時の体験や思いを文字にして読む機会を設け、意識的に語り継いでいこうと文芸賞を発案した。

 自らも津波でわが家を失った実行委員会の渡辺昌子会長(70)は「思い出したくない経験かもしれないが、言葉にすることで心の奥にあった気持ちを吐き出すことができたり、何らかの癒やしにつながったりしたのではないか」と、大きな反響のあった前回の手応えを語る。被災していない人や市外からの応募も多く、津波に襲われた人々に心を寄せる作品を出した湘南の2グループはそれぞれ表彰を受けた。

 2回目の募集テーマについては「実行委員会の中では変えた方がよいのではとの意見もあったが、やはり海は切り離せない」と変えずに臨むことにした。「海には恵みもあり、楽しい場でもある。海に関するさまざまなイメージを呼び起こしてほしい」と、震災にとらわれない作品の応募も積極的に呼び掛けている。

 自由詩やエッセー、短歌、俳句など幅広いジャンルで作品を募集しており、予備審査を通過すれば応募者自らが来年2月の公開審査で作品を読み上げる。応募の締め切りは「津波防災の日」の11月5日。出品料千円。問い合わせは、実行委電話0479(57)5769。

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