シベリア抑留や空襲、原爆など、戦争体験者の生の声を聴く企画「Memories of War~生の声で聴く6テーマの戦争体験」が4日、横浜市中区の市開港記念会館で開かれた。家族連れなど60人超が参加。体験談を通して想像を絶する戦争の現実を知り、平和について考えた。
アジア太平洋戦争の継承活動を通じ、平和を目指す若者の任意団体「history for peace」の主催。80~90代の男女7人が、それぞれの経験を伝えた。
沖縄戦について語ったのは、沖縄県南部・糸満市生まれの金城圀弘さん(80)。6歳だった1945年4月、米軍の爆撃機が毎日のように来襲し、道は腐って膨らんだ遺体で埋め尽くされていた。
「歩くとき、遺体を踏むと足が田んぼに突っ込むように入り、抜くとウジが付いてきた。あの感触が忘れられない」
逃げ惑った末に住んでいた集落に戻り、防空壕にいると、米兵に見つかり捕虜となった。ところが連行されそうになると、祖母は目の前で燃える小屋に飛び込み自殺した。「当時、捕虜になることは恥ずかしいと言われていた。集団自決があったというが、祖母も自決の一つの例だ」と話した。
金城さんの話を熱心に聴いていた横浜市青葉区の高校1年、喜多美琴さん(15)は、唯一の地上戦として民間人が巻き込まれた沖縄戦に興味があったという。
「関心がある人だけでなく、もっといろいろな人に聴いてほしい。今なら焼身自殺をしろ、と言われてもできないだろう。当時の国民の気持ちが分からない」と、戦時中の人々の精神状態に戸惑いの表情を浮かべていた。