匿名性が高く、犯罪行為の温床になっているとされるネット空間「ダーク(闇)ウェブ」の実態解明を人工知能(AI)を使って進めようと、県警は31日、知見を持つ情報セキュリティ大学院大学(横浜市神奈川区)、デロイトトーマツサイバー合同会社(東京)と共同研究に関する覚書を交わした。ダークウェブについては、全国の警察が専門機関と連携して実態把握の取り組みを行っているが、県警によると、産学官によるAIを活用した共同研究は全国初。
県警によると、ダークウェブ上では、違法薬物や犯罪ツールとなる不正口座などの売買情報が氾濫。個人情報やサイバー攻撃の手法も取引されているとされ、治安対策上の脅威になっている。一方で、特定のツールを用いなければアクセスできない匿名性の高い領域のため、実態把握が困難で、捜査が行き詰まるケースも少なくないという。
共同研究は、8月から来年3月末まで。三者がダークウェブやAI、サイバー犯罪の知見を持ち寄り、ダークウェブ上で脅威度の高い情報をAIで自動抽出する手法の確立を目指す。成果を踏まえ、犯罪捜査への応用も視野に入れる。
31日に県警本部(横浜市中区)で、県警の綿引緑サイバーセキュリティ対策本部長、同大学院大学の後藤厚宏学長、同社の木村研一代表執行者が覚書を締結。綿引本部長は共同研究に期待を表明し、「産学官による成果をサイバー犯罪の摘発や被害防止対策に反映していきたい」と述べた。