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安倍政治を考える 記者の視点 デジタル編集部 田崎基
時代の正体〈518〉ミサイル訓練の深意に目凝らせ

社会 | 神奈川新聞 | 2017年9月7日(木) 16:43

弾道ミサイルの飛来を想定した訓練で、しゃがんで身を守る参加者=9月3日、横浜市港南区
弾道ミサイルの飛来を想定した訓練で、しゃがんで身を守る参加者=9月3日、横浜市港南区

【時代の正体取材班=田崎 基】北朝鮮による弾道ミサイル飛来に備えた対策として「頭を抱えてしゃがみ込む」訓練が、全国的に実施され、県内でも相次ぎ開催された。自治体は無自覚に実施し、メディアがそれを無批判に報じる。「なぜ北朝鮮がミサイル発射を繰り返すのか」「日本が恨まれなければならない理由は何なのか」。根本的な問いはなく、しかし不安はあおられ、脅威にさらされていると言い立てる。そして為政者は力強く言い放つ。「圧力で北朝鮮の政策を変えさせていかなければならない」。喧噪(けんそう)の内にあるからこそ、冷静に耳を澄まし、隠された深意に目を凝らさなければならない。

◇ ◇ ◇
 3日午前、横浜市港南区にある日野中央公園で行われた「横浜市総合防災訓練」。地元市民や高校生ら700人ほどが参加した。その冒頭の約5分間で「弾道ミサイル飛来を想定した訓練」が行われた。平塚市に次いで、県内で2例目となった。


県内で初めて弾道ミサイルを想定して行われた住民避難訓練=8月19日午前、トッケイセキュリティ平塚総合体育館
県内で初めて弾道ミサイルを想定して行われた住民避難訓練=8月19日午前、トッケイセキュリティ平塚総合体育館

 横浜市の担当者に訓練の意義を問うと、「何もしないより、やった方が確率は高まる」と話した。

 「確率」とはつまり、他国から日本にミサイルが飛んできて、市民の近くで爆発し、それでも生き残る確率のことを言っているのか。その事態が「戦争状態」であるという自覚があっての発言か-。

 他国を「外敵」と位置付け、「日本にミサイルを撃ってくる」と脅威をあおり、「やらないより、やった方がいい」と、頭部を抱え込む訓練に市民を参加させる。

 訓練について「まるで戦前、戦中のようだとは思いませんか」と問いを重ねると、市担当者は「私には戦争経験はありませんし、戦時中のことは知りません。そこまで深くは考えませんでした」と答えた。

 無自覚によって社会に生み出される、漠然とした、それでいて強度な不安が、どれほど罪深いか。「もう戦時だ。非常事態なのだ」という、現実と乖離(かいり)した認識を市民の心に刻み込むことの意味をどれだけ認識しているのか。

 「政府から通知があり、市民に周知しなければならない、というのが私たちの目的ですので」と言い、「訓練の成果が実証されないことが一番望ましいことです」などと説明するのだった。

 政府は4月、全国の自治体に訓練の実施を呼び掛ける通知を出し、横浜市は6月ごろから検討してきた。恒例の総合防災訓練の冒頭に組み込むことに内部で異論はなかったという。そして訓練で全国瞬時警報システム(Jアラート)の独特な和音がテスト放送され、丈夫な建物へ逃げ込むことや頭を抱えてしゃがみこむようアナウンスされた。


訓練は小学校でも行われている。辞書を入れた袋を頭の上に掲げて身を守る態勢を取った=9月6日午前、島根県隠岐の島町(共同)
訓練は小学校でも行われている。辞書を入れた袋を頭の上に掲げて身を守る態勢を取った=9月6日午前、島根県隠岐の島町(共同)

完全に把握?



 訓練の効果が疑わしいばかりでなく、北朝鮮が日本を標的にしてミサイルを発射する恐れや緊迫度合いを政府がきちんと把握しているのかさえ、釈然としない。そのことは8月29日早朝、東日本の広範囲に鳴り響いたJアラートの顛末(てんまつ)からも分かる。


8月29日早朝に北朝鮮西部から発射されたとされるミサイルの軌道
8月29日早朝に北朝鮮西部から発射されたとされるミサイルの軌道

 政府は、

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