2015年3月期の決算を粉飾して有価証券報告書に記載したとして、横浜地検特別刑事部は25日、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで、東証1部上場の住宅関連会社「すてきナイスグループ」(横浜市鶴見区)の元会長(71)=川崎市幸区、元社長(67)=東京都国立市、元取締役(63)=横浜市金沢区=の3容疑者を逮捕した。地検は3人の認否を明らかにしていない。
地検は、取引のある金融機関からの融資が難しくなることを恐れた創業家出身の元会長が、赤字を隠すために粉飾を主導したとみて、他の決算期での粉飾の可能性も含めて同社の財務状況を調べる。
逮捕容疑は、共謀して15年6月26日、架空の売り上げを計上するなどして黒字に見せかけた同年3月期の決算を有価証券報告書に記載し、関東財務局に提出した、としている。
地検によると、同社はグループで所有する売れ残った不動産を、元会長の影響下にあるグループ外企業が出資したペーパーカンパニーに売却。こうした架空取引などを通じて約32億円を売り上げたように装い、約5億円の利益を水増ししていたという。
地検と証券取引等監視委員会は5月、同法違反容疑でグループ本社など複数の関係先を家宅捜索するなど捜査を進めていた。
同社は2007年に持ち株会社体制に移行。子会社や関連会社は約90社に及び、建設資材のほか、一戸建て住宅の販売を中心に事業を展開している。19年3月期の売上高は2429億円、経常利益は8億円。
すてきナイス元会長ら逮捕 「目標必達」で粉飾か
「清く、正しく」を是としてきた老舗企業すてきナイスグループを巡る粉飾決算疑惑は、元会長(71)らの逮捕により新たな局面を迎えた。