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「都会の田舎」で学ぼう 川崎の施設と島根県雲南市が連携

社会 | 神奈川新聞 | 2019年7月8日(月) 11:01

 川崎市にある仮想の「ムラ」と実在する地方都市がタッグを組み、農業を切り口に地方創生へつなげる取り組みが始動する。ムラの農園を学生のフィールドワークの場として活用。「都会の田舎」を入り口に交流を深め、I・Uターンの窓口としての役割も期待する。学生の自由な発想を基に、農業の担い手不足など都市と地方の共通課題にも解決策を導き出したい考えだ。


農業を入り口とした地方活性化へ期待を寄せる松本さん(右)と西山さん=川崎市多摩区
農業を入り口とした地方活性化へ期待を寄せる松本さん(右)と西山さん=川崎市多摩区

 提携するのは、川崎市多摩区の農業体験施設「トカイナカヴィレッジ松本傳左衛門(でんざえもん)農園」と島根県雲南市。同市は、市域全体を大学のキャンパスに見立てた「雲南コミュニティキャンパス」プロジェクトを推進しており、今回の取り組みもその一環で企画された。

 同プロジェクトは2016年のスタート以来、全国の大学45校から約300人が参加。学生の若い発想で産業や人口減などの地域課題の解決に挑戦している。しかし、地理的な要因から首都圏や関西圏の学生を呼び寄せるにはハードルも高かった。

 「都会の学生が継続的に関わりやすくしたいのと、新たに(雲南市に)興味を持ってもらうきっかけにしたい」と同市の担当者。都心近郊で「サテライトキャンパス」の開設を模索していたところ、白羽の矢が立ったのが「トカイナカヴィレッジ」だった。

 多摩区の丘陵地に位置する同ヴィレッジは、新宿から小田急線に乗れば20分で最寄り駅に着く。一方、約1万6千平方メートルの敷地には里山や畑が広がり、都会と田舎の両方の良さを気軽に味わえるのが魅力だ。

 サテライトキャンパスとなる同ヴィレッジが担うのは都市と地方を結ぶ「ハブ」。入り口は農業交流だが、その先への期待も大きい。


約1万6千平方メートルの敷地がさまざまな体験を提供するフィールドとなる
約1万6千平方メートルの敷地がさまざまな体験を提供するフィールドとなる

 地方の自治体は都心でI・Uターンのフェアを開くが、「実際の移住には結び付かないのが現状」と同市の担当者。将来的には同ヴィレッジが移住の窓口となることを構想する。

 「都市農業は後継者不足、地方は過疎化で若いマンパワーが不足している。人という点で悩みは一緒」。同ヴィレッジの「助役」西山雅也さん(53)は連携を通じて解決策が見つかることを期待する。

 サテライトキャンパスの具体的な活用法はあくまで学生側に決めてもらうつもりで、7月15日には開講式を兼ねてワークショップを開く。体験を通して田舎暮らしのイメージを高めたり、雲南市の生産者を招いて現地の農業を教えてもらったりするなど、可能性は無限に広がる。

 移住や農業の担い手確保。そんな大きなテーマでなくてもいい。「都会の田舎」でリフレッシュを求める学生の参加も歓迎する。

 「若くて元気な人が来てくれるのが楽しみ。現物に触れて農業を好きになってほしい」と「村長」の松本穣さん(74)。西山さんは「田舎を体験して知る場にするとともに、ほっとできる場所にもしていきたい」と話している。

 
 

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