
東海地震予知の見直しを検討する中央防災会議の作業部会は25日、より広範な南海トラフの巨大地震を対象に住民の事前避難や自治体、企業の防災対応を促す新制度への移行などを政府に求める報告書案をとりまとめた。東海地震の「直前予知」を前提とした大規模地震対策特別措置法(大震法)の仕組みが約40年ぶりに見直されることになる。
報告書案では「(大震法の仕組みの前提である)確度の高い地震の予測はできないのが実情」と明記。静岡・駿河湾で発生が警戒されてきた東海地震を数時間~2、3日前に予知し、交通規制などを行う現在の防災対応を「改める必要がある」とした。
ただ、紀伊半島沖や四国沖を含む南海トラフ沿いの地域に範囲を拡大する新制度の具体的な内容は示していない。地元自治体などと協議した上で、モデル地区で具体的な検討を進め、国がガイドラインを示すことを求めた。
作業部会は、南海トラフのいずれかの海域でマグニチュード(M)8級が起きた場合や一回り小さいM7級が発生した状況など、今後想定される複数のシナリオについて検討。これらのケースでは、近接海域で連動地震が起きたり、より大規模な地震につながったりする恐れがあるため、津波が短時間で到達する沿岸部などで住民の段階的な避難対策を講じる方向性を示した。現行の直前予知の判断材料となる駿河湾などでの異常な地殻変動が観測された場合は、少なくとも行政機関は警戒態勢を取る必要があるとした。
一方、予知に代わる新たな予測情報として検討されてきた「7日以内に2%程度」といった短期的な発生確率は報告書案に記載されず、事実上見送られた。
昨年9月に検討を開始した作業部会は、7回目となったこの日で終了。今後、正式な報告書を公表する。
