東海地震の予知体制を見直し、南海トラフ地震に対象を広げる新たな防災対応を検討してきた政府・中央防災会議の作業部会が25日に打ち出した方向性は、「狭く深く」から「広く浅く」への転換だ。市民生活や経済活動に影響する各種の規制を伴う「直前予知」を事実上諦める一方、新たな対策を講じる範囲を拡大するというものだが、検討すべきテーマはなお多く、新制度への移行時期は見通せない。
静岡県の全域や神奈川県の西側の8市11町を含む8都県の計157市町村が指定されている「地震防災対策強化地域」。現行の大規模地震対策特別措置法(大震法)に基づいた仕組みでは、東海地震が予知され、首相が「警戒宣言」を発表すると、鉄道の運行停止や道路規制、学校の休校措置などが講じられ、自治体や住民は地震の発生に備えることが求められる。
しかし、大震法の制定された1970年代後半には楽観的な見通しがあった地震の直前予知は、研究が進むほどに実現が難しいと分かり、特に東日本大震災以降は研究者の間で懐疑的な見方が強まった。一方で、