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障害者施設明け渡し訴訟、大磯町が全面敗訴 「権利乱用」

社会 | 神奈川新聞 | 2019年6月21日(金) 22:48

2階部分を使用する社会福祉法人が立ち退きを求められていた大磯町横溝千鶴子記念障害福祉センター
2階部分を使用する社会福祉法人が立ち退きを求められていた大磯町横溝千鶴子記念障害福祉センター

 大磯町が町横溝千鶴子記念障害福祉センター(同町国府本郷)を使用している社会福祉法人「おおいそ福祉会」に対して施設の明け渡しを求めた訴訟の判決が21日、横浜地裁小田原支部であった。内山梨枝子裁判長は、町側の明け渡し要求を「権利乱用に当たり許されない」とし、町側の請求を棄却した。町が求めた賃料相当損害金の支払いも認めなかった。

 同センター2階は2003年から同福祉会が知的障害者の自立支援のための福祉サービス事業所「かたつむりの家」を運営。約50人の利用者が雑貨製作をはじめ軽作業などを行っている。町は16年、福祉会に退去と月43万円の支払いを求めて提訴した。

 町と福祉会は2010年に施設使用についての覚書を交わしたが、利用期限などは設けられなかった。町はこの覚書について「町議会の議決を経ていないので無効」と主張した。

 判決では、地元の篤志家だった故・横溝千鶴子さんが1999年に町に寄付した5億円を原資に建設された同センターについて、町の所有権を認定した上で「行政財産を(条例などの根拠なく)無償貸与することは地方自治法に違反」と指摘した。
判決は両者の使用貸借契約を無効と判断した一方で「町が法令上順守すべき手続きを実行しなかったことが原因。福祉会や利用者に何ら落ち度はない」と強調。町が提訴したことも「利用者への十分な配慮がされず、現時点において権利の乱用に該当する」と断じた。

 訴訟を巡っては今年1月、同支部が23年6月までに福祉会が施設を明け渡すとした和解案を提示。町側が拒否していた。同町の中崎久雄町長は「町の訴えが認められなかった。弁護士と相談し、今後の対応を協議する」とコメントした。

善意背いた行政を断罪

 
 

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