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「心のバリアフリー」実現へ尽力 日本盲導犬協会50年

社会 | 神奈川新聞 | 2017年8月18日(金) 15:30

相模鉄道の社員らを対象に日本盲導犬協会が開いたセミナー=6月、藤沢市
相模鉄道の社員らを対象に日本盲導犬協会が開いたセミナー=6月、藤沢市

 国内最大規模の盲導犬を育成する公益財団法人日本盲導犬協会(横浜市港北区、井上幸彦理事長)が今月、設立50周年を迎えた。盲導犬や人材育成にとどまらず、盲導犬ユーザー転落事故を受けたシンポジウムを企画するなど、社会的な認知度を高めようと尽力してきた。同協会は「視覚障害者が外に出る機会を増やし、『心のバリアフリー』への実現に貢献したい」と話す。

 同協会は1967年、国の認可を受けた日本初の盲導犬育成団体として誕生。主要拠点である神奈川訓練センター(同区)など国内4施設を構え、これまでに育成した盲導犬は850頭を超える。

 現在国内では約千頭が活動しているが、希望する人はその3倍に上るといわれ、供給が追い付いていない現状がある。

 同協会が目指すのは、質の高い盲導犬を安定的に年間50頭育成すること。国内では同協会が2008年度に1度だけ達成、国際盲導犬連盟に加盟する92団体のうちでも9団体しか満たしたことがない。

 そうした高い目標を掲げることについて、吉川明理事(65)は「視覚障害者が外に出て行く環境をつくるのは、われわれの仕事。障害者への心のバリアーを取り除きたい」と意義を説明する。

 先駆者として、けん引役を務める思いは強い。

 04年には日本初の盲導犬訓練士学校を神奈川訓練センター内に開設(15年3月休校)。現在は研修制度を設けて訓練士の育成に取り組む。盲導犬育成8団体による訓練士向けのセミナーでは中心的な役割を担い、会場に同センターを提供。16年からは白杖(はくじょう)歩行指導員養成講座を開始した。

 昨年8月に東京の地下鉄駅で盲導犬ユーザーが転落した事故を受けて、11月から相模鉄道をはじめ鉄道事業者を対象にセミナーを開いている。これまでの11回で600人以上が参加した。18日には都内で鉄道事業者向けのシンポジウムを開く。駅転落事故のデータ分析研究の発表に加え、歩行指導員、視覚障害者団体も参加した討論が交わされる予定だ。

 同協会は「悲惨な事故を二度と繰り返さないためにも、さらなる安全を追求するとともに社会への理解を求めていきたい」と話す。

 法整備も進む。昨年4月には障害者差別解消法が施行された。吉川理事は「法律にも関心を払い、社会の空気を感じることが必要」と、早くも“次の50年”を見つめている。

 
 

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