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相模原障害者施設殺傷
尊厳か、プライバシーか 匿名続く追悼式

社会 | 神奈川新聞 | 2019年6月12日(水) 05:00

犠牲者19人の遺影や名前がない祭壇が設けられた津久井やまゆり園事件追悼式=2018年7月、相模原市南区
犠牲者19人の遺影や名前がない祭壇が設けられた津久井やまゆり園事件追悼式=2018年7月、相模原市南区

 相模原市緑区の県立障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が犠牲になった事件から、まもなく3年。県主催の追悼式が、今年も7月に開かれる。過去2回の追悼式は、遺族の希望で犠牲者全員の名前と遺影が伏せられた。個人の尊厳か、遺族のプライバシーか。匿名を巡る考え方が分かれる中、県は遺族への聞き取りを進めている。 

 「本来ならば、一人一人の名前や写真を出して、追悼するべきだと考えています」。県庁で先月21日にあった定例会見。黒岩祐治知事は持論を改めて披露し、実名での追悼式の実現に強いこだわりを見せた。

 事件を受けて県が制定した「ともに生きる社会かながわ憲章」を念頭に、知事は「遺影と名前に向かって祈るのが一般的。障害者だからできないというのは違和感を覚える」と指摘。ただ、遺族の反対を押し切って公表はできないとし、今年については「現在、検討中」と繰り返した。

 2017、18年の追悼式は犠牲者の名前と遺影を掲げず、知事が読み上げた生前のエピソードも全く同じだった。県共生社会推進課によると、園を運営する「かながわ共同会」と入所者家族でつくる家族会を通じて遺族の意向を確認してきた。

 名前を出したり、匿名でも遺影を掲げたりするのに理解を示す遺族がいる一方、「マスコミの取材に追われたり、他人から心ない言葉を掛けられたりするのではないか」「そっとしておいてほしい」といった意見も少なくなかったという。

 今年の追悼式に向け、同課は3月以降、名前や写真をどうするかなどを遺族に再度聞き取っている。これまで一律の対応をしてきたが、希望者だけでも公表するやり方も「非常に重要なポイント」(黒岩知事)としている。

 過去2回の追悼式では、一般の参列者から式典の形骸化や事件の風化を懸念する声も上がった。同課の担当者は「何よりも、遺族を2次被害から守ることを一番に考えたい」と話す。

 3回目となる今年の追悼式は、7月22日に相模女子大学グリーンホール(相模原市南区)大ホールで開かれる。

 
 

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