
展示企画や講演を通じて平和について考える恒例の「平和をきずく市民のつどい」が9日、川崎市中原区の市平和館で開かれた。ヘイトスピーチに関するパネル展示が初めてお目見え。市は差別的言動を含むあらゆる差別を禁じる条例の成立を目指しており、足を止める市民の姿が関心の高さをうかがわせた。
パネルは市民団体「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」が作成した。市内ではヘイト団体によるデモや街宣が2013年から繰り返され、標的とされている在日コリアン市民への人権侵害が続く。市民の反対運動や行政による対策などを写真や年表、新聞記事を使って解説し、深刻な現状を訴えた。
ステージでスピーチした市民ネットワークの志田晴美さん(51)は「差別の扇動は地域社会を分断し、平和を破壊する。多文化共生を進めてきた川崎市ではとりわけ許されない」と強調した上で、「確信的に差別をあおる人たちを止めるには条例で罰則を設けることが不可欠」とアピール。今夏に実施されるパブリックコメントを通じて意見を寄せるなど市民参加の条例づくりを呼び掛けた。
志田さんは「市の条例制定の動きを注視している市民も多く、関心の高まりを感じた」と話していた。
つどいは、市が核兵器廃絶平和都市宣言を行った1982年の翌年から平和団体のメンバーらでつくる実行委員会が主催。沖縄の基地問題や川崎大空襲に関する展示なども併せて行われている。