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なぜ児童、見えぬ動機 川崎・登戸児童殺傷1週間

事件事故 | 神奈川新聞 | 2019年6月4日(火) 05:00

現場には数多くの花や菓子などが手向けられた=29日朝、川崎市多摩区
現場には数多くの花や菓子などが手向けられた=29日朝、川崎市多摩区

 川崎市多摩区登戸新町の路上で5月28日、スクールバスを待っていた私立カリタス小学校(同区)の児童ら20人が殺傷された事件は、4日で発生から1週間を迎えた。事件前や当日の岩崎隆一容疑者(51)の行動からは強い殺意や計画性がうかがえる一方、なぜ児童を狙ったのかは判然としないままだ。同容疑者がその場で自殺し、多摩署捜査本部は供述が得られない難しい捜査を強いられながらも、押収資料などの手掛かりから糸口を探している。

 「ちょっと、がっかり」。事件のあった翌29日に同容疑者の自宅で行われた家宅捜索で思ったような結果が得られず、捜査幹部はため息をついた。捜査本部は、包丁の空き箱や海外の大量殺人事件を特集した雑誌など数十点を押収。しかし、交友関係や興味関心を調べる上で有力な手掛かりとなる携帯電話やパソコンは見つからなかった。

 職歴についてもさかのぼって捜査しているが、行きつけの店などは見つかっていないという。口座には入金がいくつか確認され、交友関係を調べる上で数少ない手掛かりになる可能性がある。

 同市によると、同容疑者は長期間働いておらず、引きこもり傾向にあったとみられる。捜査幹部は「交友関係がこれほど見えてこないのは珍しい。つかみどころがない」と漏らす。

 一方で、現場の防犯カメラや目撃者の証言などから襲撃時の様子はある程度判明してきた。登戸駅を出た同容疑者はバス停のある道とは別の道を徒歩で移動。用意した手袋を途中で着用した上で、回り込むような形でバス待ちの児童の列の後ろにつけ、保護者の外務省職員の男性(39)をまず襲ったとみられる。無言で次々と児童らを切り付けたとされる態様からは強い殺意がうかがえ、直後の自殺に関しても躊躇(ちゅうちょ)なく首を深く傷つけているとみられ、当初から計画に含まれていた可能性がある。

 同容疑者が周到に準備を進めてきたと思われる形跡も散見される。捜査本部は凶器となった包丁の購入先を調べ、可能性のある東京都町田市の量販店を割り出した。2月に同型の包丁2本が同時に販売されていることを確認。「現場から見つかった包丁は、事件前に使用された感じはない」(捜査関係者)といい、購入時期が事件の準備をした時期と重なる可能性があり、特定を急いでいる。

 現場の下見についても計画性を裏付ける重要な要素となるだけに、事件以前の容疑者の行動を捜査している。今後は親族の聴取を本格的に進め、事件を思い立ったきっかけとなる出来事などについても調べる。

 捜査幹部は「動機の解明が大事。再犯防止の対策を検討する上でも重要なので、可能な限り捜査を進める」と話す。

 
 

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