他にはない神奈川のニュースを!神奈川新聞 カナロコ

  1. ホーム
  2. ニュース
  3. 社会
  4. 厚木基地爆音5次提訴 飛行差し止めと対米協議も請求

厚木基地爆音5次提訴 飛行差し止めと対米協議も請求

社会 | 神奈川新聞 | 2017年8月5日(土) 02:00

横断幕を掲げながら、提訴前に行進する原告団と弁護団=4日午後1時20分ごろ、横浜地裁前
横断幕を掲げながら、提訴前に行進する原告団と弁護団=4日午後1時20分ごろ、横浜地裁前

 在日米海軍と海上自衛隊が共同使用する厚木基地(大和、綾瀬市)の航空機騒音の解消を求め、基地の周辺住民が4日、厚木基地第5次爆音訴訟を横浜地裁に起こした。原告数は6063人で、国を相手取り民事訴訟と行政訴訟の双方で自衛隊機と米軍機の飛行差し止めを請求。さらに民事訴訟で、騒音被害に対する損害賠償として総額約86億3千万円の支払いを求めた。

 通常の民事訴訟と同時に、公権力行使の適否を問う行政訴訟を提訴する形態は4次訴訟と同じ。今回は新たに、被害根絶に向けた米国との協議を日本政府に義務付ける請求も民事訴訟で加え、飛行差し止め請求とは別の角度からも米軍機の騒音解消を目指す。

 昨年12月に終結した4次訴訟では、二審までの行政訴訟で自衛隊機の一部飛行差し止めが初めて認められたが、最高裁で判断が覆り退けられた。騒音被害の大半を占める米軍機に関しては、差し止めを認めない司法判断が民事訴訟と行政訴訟を通じて定着しており、日米双方の軍用機を巡る攻防が、5次訴訟でも最大の焦点になる。

 損害賠償の請求額は、4次訴訟の倍に当たる1人当たり月額4万円に引き上げた。今年2月の沖縄・嘉手納基地第3次訴訟の一審判決で月額3万5千円の賠償額が認められたためで、賠償額を積み増して国への圧力とする。これまでと同様、過去に実際に受けた騒音被害の賠償だけでなく、将来分として提訴日から騒音解消が実現されるまでの期間の賠償も求めた。

 原告は大和、綾瀬、相模原、座間、海老名、藤沢、茅ケ崎、東京都町田の8市民。いずれも、国の住宅防音工事の助成対象となる「うるささ指数(W値)」75以上の区域に居住している。

 原告団は今後も参加者を継続して募り、今秋にも追加提訴する方針。現時点でさらに約1500人の参加が確定しており、最終的には1万人規模を目指すとしている。

 訴えによると、原告らは基地を離発着する軍用機の騒音により、健康被害や睡眠妨害、生活の破壊など多様な被害を受けていると主張。「こうした人権侵害行為の放置は許されず、航空機騒音の差し止めを認める以外に原告らの権利救済の手段はない」「(防衛相による)自衛隊機運航などの各種処分には裁量権の逸脱がある」としている。

 防衛省南関東防衛局は「個別の係争案件なので、コメントは差し控えたい」としている。

 厚木基地を巡っては、駐留する米空母艦載機が来年5月ごろまでに岩国基地(山口県)に移駐する予定。ただ移駐後の厚木基地の運用は明確になっておらず、騒音被害が続くとの懸念は消えていない。

 
 

在日米軍厚木基地に関するその他のニュース

社会に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング