
建設資材や不動産の販売などを手掛ける東証1部上場の住宅関連会社「すてきナイスグループ」が粉飾決算した疑いがあるとして、横浜地検特別刑事部は16日、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで、横浜市鶴見区の本社など複数の関係先を家宅捜索した。証券取引等監視委員会も同日、強制調査に入った。関係者への取材で分かった。
関係者によると、子会社から融資を受けたペーパーカンパニーに、別の子会社の売れ残った不動産を購入させていたとみられ、2014~19年の3月期決算で、売り上げを粉飾した有価証券報告書を関東財務局に提出した疑いが持たれている。
この期間の決算書類は、第3四半期(4~12月)がいずれも経常損失と純損失だったのに、最終的な3月期決算で黒字に転換している。「飛ばし」と呼ばれる手法で、損失を隠した疑いがある。
地検は、複数の子会社とペーパーカンパニーを使った不動産の架空売買で、毎年50億円以上の売上高を水増ししたとみて、粉飾決算が常態化していた可能性も視野に実態解明を進める。

すてきナイスグループは「関係者の方々に多大なご迷惑とご心配を掛け、深くおわび申し上げる。捜査へ誠実に協力するとともに、コンプライアンス重視の経営体制構築に向け、全力で取り組む」とコメントした。
信用調査会社によると、1950年に設立され、07年に持ち株会社化で「すてきナイスグループ」になった。18年3月末時点で、子会社と関連会社を合わせて約90社あり、建設資材、マンションや一戸建て住宅の販売を中心に、コンサルティングやソフトウエア開発などの多様な事業を展開している。14~19年の3月期決算書類によると、売上高は2357億~2706億円。19年3月期は売上高2429億円で、経常利益は8億円、純利益は3億円となっている。