毎年10月に藤沢市の片瀬海岸西浜で開催され、秋の風物詩として定着しつつある「ふじさわ江の島花火大会」について、市や市観光協会などで組織する実行委員会は8日、今年の開催を中止すると発表した。会場近くの駅舎で工事が行われているほか、同時期に開催されるラグビーのワールドカップ(W杯)2019日本大会のために警備態勢が手薄になる可能性があることなどから、安全面を最優先に中止を決断した。
実行委によると、会場への出入り口となる小田急線片瀬江ノ島駅では現在、改良工事が進められており、8カ所あった改札口が実質的に半減。加えて、ラグビーW杯が同時期に開催されるため、警備人員の十分な確保が見通せないという。
同協会の担当者は「会場周辺の状況を踏まえて検討を重ねた結果、観覧客の動線確保を含めた周辺の安全性を十分に確保することが困難と判断した」と説明。
駅舎は五輪直前の来年5月の完成を目指しており、来年度以降については「改めて開催に向けた検討、準備を行っていく」とし、地元経済や観光への効果といった観点から、開催する方向で検討していく方針を示した。
同花火大会は2012年から開催時期を夏から秋に移行。昨年は約3千発が打ち上げられ、約8万5千人が訪れている。
実行委は今年1月以降、(1)駅舎の改良工事の影響など環境面(2)鉄道各社の輸送力、運用方法(3)開催時期の警察、警備の対応状況-の3点から、今年の開催の可否を検討してきた。