2月下旬の法務省大会議室。居並ぶ委員に対し、最高裁刑事局の担当者は、裁判員制度の現状をこう分析した。「当初に比べて国民の関心が低下している」
この日開かれたのは、裁判員制度の見直しに向けた検討会。間もなく迎える導入10年の節目を前に、委員を務める東京地裁の裁判官や被害者支援団体の関係者からも同様の意見が相次いだ。
市民が刑事裁判の審理に加わることで、司法への社会的な理解と信頼を高めることを狙った裁判員制度。理想通りにはなかなか進まない現状に、法曹界の危機感は強い。
浸透を図る上で、これまで足かせになっていた点とは何か。