安倍晋三政権が憲法9条を中心とした改憲への意欲を隠さない現状への憤りを込めて、海老名市の彫刻家、中垣克久さん(75)が9条改憲後の日本国旗を表現した作品を制作した。東京都美術館(台東区)で3日から開かれる「現代造形表現作家フォーラム展」で披露される。「日本の財産である9条を捨てることは、日本を捨てること」と中垣さん。同美術館を巡っては、過去に安倍政権の政治姿勢を批判した自身の作品の撤去を迫られた経緯があり、美術館側の対応にも警戒している。
作品は「日本の生と死」「平和の危機」をテーマにした連作「時代(とき)の肖像」の新作で、タイトルは「9条改憲に伴う新しい日本国旗の制定」。縦130センチ、横230センチの布に、米国国旗の星条旗と重なるように薄い色の旭日旗を印刷し、旭日旗から星条旗が透けて見えるような表現となっている。
込められているのは「強い日本」を叫び、「日本を取り戻す」と公言しながら9条の改憲を訴えてきた安倍政権への怒りと皮肉だ。