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相模原殺傷事件1年、識者寄稿:精神科医・香山リカさん 蔓延する差別が突出

社会 | 神奈川新聞 | 2017年7月26日(水) 11:50

香山リカさん
香山リカさん

 被告は何らかの「精神疾患」なのか。これらの手紙からはそれがことごとく否定される。

 「意思疎通ができない人間は安楽死を」という人間性が皆無の被告の主張から、「統合失調症で妄想に取り憑(つ)かれていたのか」とも考えたが、手紙からこれは被告なりの理屈の上に成り立っており、理由のない確信である妄想とは異なることがわかった。重症の躁病(そうびょう)でも誇大妄想が生じる場合があるが、それほどの状態なら、このように整った文字、冷静な文体の手紙を書くことはまずできない。また大量殺人事件の犯人がいわゆる「サイコパス」の場合も少なくないが、その場合に見られる自らの欲望を満たす“快楽殺人”の要素は、この手紙からは読み取れない。

 精神鑑定では、自己愛性パーソナリティ障害との診断が下されたそうだ。そうだとしたら被告の万能感や特権意識は現在も続いているはずだが、手紙からはその気配が感じられない。薬物中毒の可能性も今はないだろう。

 問題は、被告は精神疾患ではないものの、「人間としてのこころの健やかさ」をまったく持っておらず、今もその状態が続いているということだ。

 では、被告はなぜ「最低限度の自立ができない人間を支援することは、自然の法則に反する行為」と身勝手にも決めつけ、それに基づいて残虐な行為を起こし、いまでもそれが正しいと信じたままなのか。

 
 

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