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障害者は「不幸ばらまく存在」 植松被告、今も差別意識

社会 | 神奈川新聞 | 2017年7月26日(水) 02:00

植松聖被告から神奈川新聞社に届いた手紙
植松聖被告から神奈川新聞社に届いた手紙

 相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者ら45人が殺傷された事件で、殺人などの罪で起訴された元施設職員植松聖被告(27)が障害者への差別的な感情を今も抱き続けていることが明らかになった。被告は手紙を介して神奈川新聞社の取材に応じ、「人の心を失った者は不幸をばらまく存在で、重度・重複障害者も当てはまる」「(共生社会でなく)今は寄生社会と呼ぶ方が的確」との考えを示した。社会の根幹を揺るがした事件は26日で発生から丸1年を迎えた。

手紙で心境語る


 事件後に障害者に対する自身の考えを直接明らかにしたのは、今回の手紙が初めて。神奈川新聞社は6月以降に3回、植松被告と手紙のやりとりをした。

 手紙の中で植松被告は「意思疎通が取れない人間を安楽死させるべき」と主張。「命を無条件で救うことが人の幸せを増やすとは考えられない」と記した。謝罪や反省の言葉はなく、自らの行為の正当性を繰り返し主張している。

 植松被告は逮捕後の調べに、「障害者なんていなくなればいい」などと供述。3月に神奈川新聞社の接見取材に応じた際には、遺族へのおわびを何度も繰り返したものの、被害者に向けた謝罪の言葉を口にすることはなかった。

 植松被告は逮捕・送検後の5カ月間の精神鑑定で、人格障害の一種とされる「自己愛性パーソナリティー障害」と診断された。刑事責任能力を左右する精神病などとは区別され、横浜地検は2月、完全な責任能力があると判断して被告を起訴した。

 公判は裁判員裁判で審理される見通し。植松被告は殺傷行為そのものはおおむね認めており、被告の刑事責任能力の有無が最大の争点となる可能性が高い。

 被害者が多く開示される証拠の量が膨大なため、事前に争点や証拠を絞り込む公判前整理手続きは長期化が避けられない見込み。弁護側が再鑑定を裁判所に要請する可能性もあり、初公判までには相当な時間を要するとみられる。

社会の闇が浮き彫りに


 平成で最多の犠牲者を出した凶行は、社会が抱えるさまざまな問題も浮き彫りにした。足元に潜む弱者への差別と偏見、時代に逆行する福祉施策、障害者を取り巻く地域のあり方-。重い課題を突き付けられた当事者は、憎悪を打ち消し、命の大切さを再確認し、共生への道を模索しながら事件と向き合い続けている。

 事件後、ネット上では「生かしていて何の意味がある」「よくやった」と被告に同調し、障害者の尊厳を踏みにじる書き込みが相次いだ。命に優劣をつける優生思想と同根の差別感情の噴出に、関係団体は「強い怒りと深い悲しみを込め、断固として優生思想と闘う」などと相次ぎ声明を発表。家族の愛に包まれて笑顔で暮らす写真も発信し、犠牲者の生きた証しを共有できない匿名社会のあり方にも警鐘を鳴らした。

 事件は障害者を取り巻く福祉施策の問題点も浮かび上がらせた。政府は、措置入院患者を退院後の監視対象とする精神保健福祉法改正に着手。国会で継続審議中の改正案には、「問題の矮小(わいしょう)化で、精神医療の治安維持利用は筋違い」といった反発が上がっている。

 一方、津久井やまゆり園の再建を巡る県の議論は大詰めを迎えているが、着地点は見えていない。現在入居している横浜市内の仮園舎から元の場所に戻りたい入所者家族と、地域移行の潮流を前提に小規模分散化を目指す検討部会の主張は平行線のままだ。障害者を特別視しない共生社会の醸成を目指す中、入所者の「受け皿」となる地域のあり方も問われている。

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