平塚市立土屋小学校(同市土屋)の正門前で2014年10月、同校6年の男児=当時(12)=が授業中に車にひかれて死亡した事故を受け、平塚市教育委員会は20日、学校の管理体制や市教委の対応などを検証する「学校事故・事件等調査委員会」を設置すると明らかにした。同委員会は弁護士や学識経験者5人で構成するとし、9月にも第1回の会合を開催する予定。
市教委によると、男児の両親は事故直後から外部の有識者らによる検証作業を求めていたが、市教委はこれまで内部による調査にとどめていた。16年3月に文部科学省が示した「学校事故対応に関する指針」で被害児童や保護者らに寄り添った対応を求めていることなどから、同5月から一転し、第三者委員会設置に向けた協議を進めてきたという。
両親の要望に2年半以上も応じなかったことについて、吉野雅裕教育長は「校外での保護者の事故と捉えて当事者意識が欠如し、授業中に児童が亡くなったという重大さへの認識が甘かった」と説明、男児の父親(44)に謝罪した。父親も同日に会見を開き「なぜ安全安心な学校に通わせて、授業中に息子が亡くならなければならなかったのか。第三者委員会を通じて真の原因究明と再発防止を望む」と訴えた。
第三者委は、市教委が15年2月に組織内に立ち上げた事件検証・安全対策検討委員会の内容も踏まえて協議。1年ほどをかけて再発防止策などをまとめる。
事故は14年10月17日午後2時50分ごろ、正門前の市道で発生。図工の授業中だった男児は路上の端に座って絵を描いていたが、同校の児童を迎えにきた女性=当時(31)=の車にひかれて死亡した。
女性は16年2月に自動車運転処罰法違反罪で禁錮2年6月、執行猶予5年の判決が言い渡され、確定している。一方、男児の両親らは同7月に女性と市、県に損害賠償を求める訴訟を起こし係争中。
男児父「やり場ない悔しさ」
安全なはずの小学校の授業中に事故に遭い、当時小学6年生の長男を失った悲しみは今なお深い。事故原因