事件の容疑者特定に役立てる「捜査用似顔絵」の完成度を競い、技術の向上につなげる競技会が14日、横浜市中区の県警本部で開かれた。県警捜査員約65人が参加し、不審者の顔の特徴を聞き取りながら素早く鉛筆を走らせた。
競技会は、2006年から毎年続いている研修会の成果を確認するため、初めて企画された。参加者は2人一組に分かれ、目撃者役が不審者の顔写真を1分で記憶。警察官役が「輪郭はイメージ通り」「もっと眉毛が濃かった」といった証言をもとに、20分間で似顔絵を仕上げた。
競技会に先立ち、13日には研修会も開催。全国で技術を伝授している沖縄県警鑑識課の安里秀明警部らを講師に招き、顔の特徴を表現するこつなどを学んだ。
県警は事件の初動捜査に活用するため、不審者の目撃情報があった場合は積極的に似顔絵を作成している。県警鑑識課によると、昨年1年間は全国最多の2619枚を描き、このうち約60枚が容疑者の摘発に効果を上げたという。
競技会で最優秀賞に輝いた平塚署刑事課の島根彩巡査長は「目撃者が最も印象に残ったパーツを強調して描いている。一件でも多く検挙に役立てたい」と意気込んだ。阿部篤鑑識課長は「特徴を捉えた捜査用似顔絵は事件の早期解決に有用。技術を磨いてほしい」と期待した。