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時代の正体 ヘイトスピーチ問題
「選挙運動でも違法」自治体と見解共有へ 法務省通達

社会 | 神奈川新聞 | 2019年3月21日(木) 01:02

日本第一党の街宣に抗議する市民=1月19日、JR川崎駅東口
日本第一党の街宣に抗議する市民=1月19日、JR川崎駅東口

 【時代の正体取材班=石橋学】統一地方選の期間中、立候補者やその支援者による選挙運動名目のヘイトスピーチが危惧されている問題で、法務省人権擁護局は20日までに、選挙運動で行われた差別的言動について「直ちに違法性が否定されるものではない」との見解を各地方法務局に通達した。人権侵犯事件の対象として対応を求めるもので、各自治体にも周知し、見解を共有していくとしている。

 内部通達は12日付。「選挙運動、政治活動の自由の保障は民主主義の根幹をなすもの」と前置きしつつ、ヘイトスピーチの違法性に言及。「選挙運動として行われていることのみをもって安易に人権侵犯性を否定することなく、その内容、態様などを吟味し、総合的かつ適切に判断、対応」することを求めた。

 人権擁護局は当面、ヘイトデモや差別扇動街宣が頻発している川崎市など全国の自治体に見解を通知していくとしている。

 統一地方選では、過去に人種差別発言を繰り返してきた桜井誠氏が党首を務める極右政治団体「日本第一党」が相模原市をはじめ東京、大阪、福岡などで十数人の候補者擁立を予定している。川崎市議選でも第一党最高顧問の瀬戸弘幸氏が無所属候補の支援を公言。選挙期間中、在日コリアン集住地区を含め街頭でヘイトスピーチが横行する恐れがある。

 相模原市人権・男女共同参画課は「国の見解が示されれば、考え方を整理することができる」と歓迎。市選挙管理委員会と対応を協議するとした上で「自治体で足並みをそろえるべきで、全ての自治体に周知してほしい。さらにどんな対応を取るべきかも具体的に示してほしい」と話している。

「市民にも周知を」公明遠山氏
 選挙運動とヘイトスピーチを巡る法務省の見解について、20日に説明を受けた公明党のヘイトスピーチ問題対策プロジェクトチームの遠山清彦座長は「ヘイトスピーチを認知した場合、立件できるとするもので踏み込んだ内容」と評価。一方で「省内にとどめず自治体や選挙管理委員会、警察、市民にも周知してほしい。法務省以外の取り組みも必要だ」と注文を付けた。

 遠山座長は「選挙運動では言論の自由は最大限保障されなければならないが、だからといってヘイトスピーチが許されないのは常識」と指摘。「社会通念上当然のことが破られようとしている」と現状への危機感をあらわにした。

 人種差別団体が全国で候補者を立てる動きに、「有権者が自分たちの代表を選ぶのが選挙。公の場で演説できるという手段に着目し、人権侵害の差別的言動を行う目的であるならとんでもない」との見解を示す。

 ヘイトスピーチ解消法の成立にも尽力した遠山座長は「政党、政治家としての役割もある。国会論戦の場でもこの問題を取り上げたい」と話した。

 
 

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