入所者19人が刺殺されるなどした相模原市緑区の県立障害者施設「津久井やまゆり園」が6日、事件後初めて報道陣に公開された。平成以降で最悪の犠牲者数を出し、元施設職員の植松聖被告(27)=殺人などの罪で起訴=の言動から優生思想が明らかになるなど、社会に大きな衝撃を与えた事件から26日で1年。事件をうかがわせる痕跡はほとんど残っていなかった。
県が要請に応じて公開したのは、殺傷現場となった東西2棟の居住棟と、管理棟で、被告がたどったとされるルートに沿って県職員が案内した。昨年8月に血痕などを取り除く特殊清掃が行われ、照明や水道は止まった状態。ベッドなどが運び出され閑散とした1~2人部屋が並ぶ。一部の居室は私物や入所者が特定される痕跡が残っていることから非公開だった。
県は事件後、施設内部の公開を県議会の委員会や事件を検証した第三者委員会などに限定。報道目的には防犯上の懸念や遺族らへの配慮を理由に慎重な姿勢を示してきた。
