鎌倉市の由比ガ浜海水浴場に「相席居酒屋」形式の海の家が出店を予定しており、松尾崇市長は3日の会見で、市が出店取りやめなどを申し入れたと明らかにした。店側は1日の海開きに合わせてオープン予定だったが、3日現在で営業していない。
松尾市長は「ここ数年取り組みを重ねてきてマナーの向上が感じられるようになってきた。市に営業をやめさせる権限はないが、海水浴場開設者として申し入れた」と説明している。
東京都内の事業者のホームページなどによると、同店は初対面の男女が同席でき、女性は飲み放題が無料。事業者は同様の形式の居酒屋を全国で約70店展開している。
市内の海水浴場は以前、海の家の「クラブ化」や治安の悪化、風紀の乱れが問題化。現在は市条例で▽砂浜での飲酒▽音響機器の使用▽入れ墨などの露出-などを禁止しているほか、海の家の営業時間を自主ルールで午後8時半までとしている。
市市民活動部によると、先月27日ごろから近隣の住民やインターネット上で同店の営業を懸念する声が高まった。風紀の乱れや過度な飲酒につながりかねないと判断した市は28日に出店の取りやめや営業形態の変更を申し入れた。市議会も30日の本会議で、市と海水浴場組合に対し、海の家の健全な営業を求める決議を全会一致で可決した。
海の家の開設には、県から海岸使用や営業の許可が必要。また、市による屋外広告物の確認のほか、海の家でイベントを行う際には市や近隣町内会などが参加する審査会での審査を受けなければならない。
海の家の組合関係者からは「市が事前に営業形態を把握するタイミングはあった。問題となってから数日しかたっておらず、市の対応は拙速だ」との意見もある。
東京都内の事業者側は取材に対し、「協議中なので答えられない」としている。