
「慢性疾患」とされる薬物依存症への理解を深めるセミナーが24日、横浜市港北区の横浜ラポールシアターで開かれた。約150人が参加し、講演や体験談を通じて依存症当事者や家族が抱える問題を学んだ。
茨城県立こころの医療センター前副院長で、薬物専門外来医師の中村恵さんが講演。20年以上薬物問題に関わってきた経験を踏まえ、回復の道筋などについて語った。
中村さんは「薬物依存症は、発達障害や統合失調症などの精神疾患を併発するケースもある」と説明。重複障害のある薬物依存症者の受け皿としてNPO法人「IARSA(アイアルサ)」(茨城県)を立ち上げ、2010年に薬物依存症者専用施設を開設した背景を語った。
アイアルサは慢性薬物中毒や発達障害など、さまざまな症状を抱える人が利用している。自助グループを通じて依存症の回復を目指すほか、規則正しい生活や身の回りの生活習慣をこなしたり、畑作業などの就労体験をしたりしながら自立に向けた訓練を行っている。
中村さんはこれまでの臨床経験を振り返りつつ「一人で社会復帰を促すと負荷になる」と強調し、「個別に寄り添いながらその人の生きやすさのために何ができるか、一緒に考えていきたい」と話した。
セミナーは当事者の自助グループや家族の支援を続けるNPO法人横浜ひまわり家族会などが主催。関係者によるトークセッションも行われた。