藤井裕久元財務相が27日、東京都内で講演し、大蔵官僚の後輩に当たる黒田東彦・日銀総裁に金融政策を巡って忠告したエピソードを披露。その上で「アベノミクスは円を弱くする政策だ」と述べ、安倍晋三首相の経済政策を批判した。
藤井氏は、2016年に行われた旧大蔵省・財務省OBが集まる会合で「国債をジャンジャン買うのは、財政を緩めることになる。財政健全化と言っているけれど、逆のことをやっている」と苦言を呈したことを明かした。黒田氏は黙って聞いていたというが、「彼もだめだと分かっていると思う。ただ、『出口戦略をしっかりしなければいけない』と自分が犠牲になる思いでやっているのだろう」と心中を推し量った。
そして、「金融緩和政策を否定しているわけではないが、超金融緩和は必ずしも国民生活にプラスにならない」との見解を示した。
安倍首相による消費税増税分の使途変更にも懸念を示し、「医療、年金、介護に教育を入れるのはまだ分かるが、(首相は)国の安全を守るためだと、防衛費も入れると言いかねない。そういう怖さを持っている」と警鐘を鳴らした。