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平成の家族(2)
「家族留学」 人生設計を学ぶ

社会 | 神奈川新聞 | 2019年2月20日(水) 09:46

星野さん夫婦の長男結翔ちゃんにミルクを飲ませる永善さん=横浜市内
星野さん夫婦の長男結翔ちゃんにミルクを飲ませる永善さん=横浜市内

 「うわぁ、哺乳瓶を手で押さえている。かわいい」

 今月2日午後、横浜市内の住宅街。会社員の星野翔太さん(33)とキャリアカウンセラーの智佳子さん(33)夫婦宅で生後3カ月の結翔(ゆいと)ちゃんにミルクを飲ませながら、駒沢大3年の永善菜々帆さん(21)は思わず声を上げた。

 星野さん宅には「家族留学」で訪れた。新聞記者を目指し就職活動中。将来は子どもは欲しいが、仕事と子育てを両立できるのか不安を抱く。家族留学は、子育て家庭への一日訪問。育児を体験し、“先輩”の話を聞き、人生設計を考える参考にしたいと申し込んだ。

 おむつ替えや結翔ちゃんを連れての外出…。初めての体験に戸惑ったり感動したりしながら、次々に質問した。「結婚前と後で、イメージのギャップはありましたか?」「子どもは欲しかったですか?」

 結婚願望は強くなかったこと、お互いに過度に干渉せず適度な距離を保って暮らしていること、仕事への影響を考えると子どもを欲しい気持ちと欲しくない思いは半々だったが、いざ生まれるととてもかわいいこと…。2人は赤裸々に語った。

 自由な働き方をしたいと結婚後に独立した智佳子さん。現在は休業中だが、4月から結翔ちゃんを保育園に預け、フルタイムで働く予定だ。「子どもは社会の宝。社会に還元すべく私はバリバリ働きます」と笑う。

 翔太さんは智佳子さんを家庭を共に「経営」するパートナーと表現する。「経営上、共働きの方が所得は増えるし、子どもの人生も豊かになる。収入がないからと(妻が)お金を使うのに引け目を感じることも健全ではない」


崩れた「夫は外、妻は家」

 平成の時代、家族の形は様変わりした。

 1980(昭和55)年、妻が専業主婦の家庭1114万世帯に対し、共働き家庭は614万世帯。その後増加を続け、1997(平成9)年には専業主婦家庭を上回った。

 背景には、終身雇用制度が崩れ、将来への不安を強めた女性たちが働くようになるなど、さまざまな要因がある。今や共働きは1千万世帯超。「夫が外で働き、妻が家庭を守る」との考え方はすっかり薄れた。

 若者にとって、親世代が必ずしもロールモデルとならない時代。多様化するライフスタイルや家庭の在り方を知る機会を提供しようと、2014年に家族留学事業を始めたのは新居日南恵さん(24)。都内に本社を置く「manma(マンマ)」の代表取締役社長だ。

 参加費は学生4千円、社会人5千円。留学先の家庭はボランティアで受け入れる。同社は双方のマッチングを図り、既に500件ほどの実績があるという。

 事業を通じ、「若い世代と子育て世代の接点がない」と実感する新居さん。結婚や出産、育児について「正しくリアルな情報」を共有する機会にしてもらいたいと願う。

育児「ネガティブなイメージ消えた」

 星野さん夫婦は智佳子さんの復職に向け、今年から月2回の家族会議を開催している。2週間先までの予定をホワイトボードに書き込み、共有する。

 仕事と子育ての両立に、不安がないわけではない。家事代行サービスの利用も検討する智佳子さんに対し、翔太さんは「稼ぎがあって、新たに生み出される時間を有効に使うなど『投資』が回収できるなら良いと思う」と、全く厭(いと)わない。

 5時間の家族留学を終え、帰路に就く電車内で、永善さんは充実した表情を見せた。「(キャリア形成する上で育児には)ネガティブなイメージばかり持っていたけど、その時々で自分の大事にしたいことができる環境を探せばいいと思えた。学びの多い時間だった」 

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