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記者の視点=運動部・倉住亮多(平成元年生まれ)
【平成に生まれて】(2)ネットの言論空間 極論とレッテル貼り

社会 | 神奈川新聞 | 2019年2月13日(水) 00:54

 インターネットの普及と会員制交流サイト(SNS)の登場は、誰もが平等に発言できる機会をもたらし、多様な言論の誕生を予感させた。一方で誹謗(ひぼう)中傷や差別的発言なども頻発し、およそ議論とはいえないような衝突が起こっている。平成が終わる。新しい時代へ、ネットの言論空間の在り方を一人の青年の事例から考えてみた。

 あのころの穏やかな人柄からは想像できなかった。

 〈日本はまだ沖縄基地問題で騒いでいる。地元の辺野古は条件付き容認なのに他が反対する必要はない〉〈メディアは相変わらず尖閣諸島の情勢は伝えない。月の半分は接続水域に侵入されている〉-。大学院に通う男性(29)は、自身のフェイスブック上で積極的に政治的主張を発信している。テーマは、安全保障の問題が中心だ。

 男性は、記者の高校時代の友人でもある。卒業してから10年あまり連絡を取っていなかったが、ある日、別の友人との酒の席で唐突に彼の名が上がった。「そういえば、あいつネトウヨになったぞ」。ネットで極端に右翼的な言説を吹聴する「ネット右翼」の存在が指摘されて久しいが、まさか身近にいたとは。一体、何を発信しているのか気になり、投稿をのぞいた。


男性が自身のフェイスブックに投稿した文章
男性が自身のフェイスブックに投稿した文章

 中国を脅威とする持論を掲げ、マスメディアへの敵意をむき出しにする主張は、明らかにネット右翼のそれと思われた。一瞬ギョッとしたが、そこに差別や暴言は見当たらない。ならば、個人が意見を持つのは自由ではないか、とも思った。

 遠方に住む男性の携帯電話を鳴らした。あのころと同じ、物腰の柔らかな声が聞こえてきた。「自分がネトウヨになったと思われても仕方がないとは思っている。それは他人の判断。でも1億人いたら1億通りの意見があるわけだから、そうやって分類することに何の意味があるのかな」。とても冷静な語り口だった。

 久しぶりに会った後輩から「ネトウヨになりましたね」と言われたことがあるという。「そうだよ、ネトウヨだよ」。笑ってごまかすことしかできなかったそうだ。「けんかするのもばかばかしい。当たり障りのないようにやり過ごした。ただ、そうしたレッテルを貼られるのは、悲しい」

政治の議論がタブー

 男性は、3年ほど前に大学の部活動でけがをした。療養のため都内の実家に帰省した。外出は止められ、しばらく安静にしなければならなかった。「精神的にも不安定だった」。将来について考える時間が増え、これまで社会問題に関心はなかったが、後学のために新聞を読み始めた。だが、あまり内容は理解できなかった。

 そこで、ネットで社会について調べるようになった。

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