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雇用創出事業での国費返還命令問題 神奈川労働局と協議会が責任なすり合う構図

社会 | 神奈川新聞 | 2017年6月28日(水) 02:00

 国費の一部返還命令を出した神奈川労働局に対し、川崎市地域雇用創造推進協議会は「責任を転嫁している」(市労働雇用部)と反発している。会計検査院から“無駄遣い”を指摘され、神奈川労働局と協議会がその責任をなすり合う構図となっている。

 求職者に福祉機器に関する技術が身に付くセミナーを受講させ、企業に紹介し就職につなげる-。雇用が悪化した時期、協議会はこうしたコンセプトを掲げて雇用創出事業を実施した。

 3年間に8コース全体で906人が受講、他の交流事業も含む就職者数は757人に上った。全体では一定の成果があったともいえる。

 ただ、返還命令を受けた二つのコースは、協議会が定員30人で募集したものの、3年間とも参加者が定員を下回った。それにもかかわらず、協議会は定員分の学習キット・機器代を計上した1セミナー分約2千万円の再委託料を民間会社に毎年支払った。3年間で6回分のセミナーはいずれも麻生区栗木の会社が受託している。

 協議会事務局の市は「参加人数に関係なく、30人分の再委託料を支払う契約だった。再委託先の会社も30人分の機器を用意し、使わなかった機器は廃棄した。したがって国の委託料は残っていない」(労働雇用部)と説明。だが、毎年、募集定員割れを続けながらも学習キット・機器代を減らす工夫も行わなかったという。

 一方、労働局も監査を行いながら事業継続を承認していた。実績に応じ翌年度に事業内容を改善する役割も果たさず、監督官庁としての甘さが会計検査院から問題視された格好だった。市は「会計検査院から指摘されたからといって、こちらに返還命令を出すのはおかしい」と主張する。

 協議会の山田長満代表は「参加者が募集定員に達しなかったことは反省している。会計検査院の指摘も重く受け止めたい」としつつ、「委託契約に沿って商議所職員と市職員が誠実に仕事をしてきた。返還義務はないと考えており、支払いに応じれば当方の職員の非を認めることになる」とも話す。一方、神奈川労働局は神奈川新聞社の取材に応じていない。

 
 

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