食品などを企業から無償で譲り受け、地域で生活困窮者に配布する役割を担う小田原市フードバンク(仮称)の設立準備会が28日夜、市内で開かれ、教育・福祉関係者ら約20人が参加した。県内では横浜、川崎、横須賀、平塚、座間などで設立されているが、県西地域では初の受け皿となる。生活協同組合と連携し2月から月2~3回の配布活動を始める。
会長に就任したヤオマサ名誉会長の田嶋享さん(83)は「食べることが困難な人に差し上げ、食品ロスをなくしていきたい」と抱負を語った。
会合では市教育委員でNPO法人子どもと生活文化協会(CLCA)顧問の和田重宏さん(73)が、給食のない土曜日に実施している中学生対象の学習支援や県立高校カフェで食事も提供している経験から「食べ物を安定的に供給するのは困難が付きまとう」として官民協力や現場教師の理解が欠かせないと強調した。
また、横須賀、横浜両市内で先行するNPO法人神奈川フードバンク・プラス理事長の本岡俊郎さん(71)は、配布対象について「収入があるが生活が苦しい母子家庭、基礎年金で暮らす高齢者など従来の貧困のカテゴリーに当てはまらない困窮者」と説明。合意書を交わすバンクに企業が提供する場合は、帳簿価格で損金計上できるよう昨年12月から条件が緩和されたことも紹介した。