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核廃絶し平和な世を 長崎の家族証言者が被爆体験を紹介 小田原で講話

社会 | 神奈川新聞 | 2019年1月25日(金) 17:00

紙芝居を使い、父・池田早苗さんの被爆体験を紹介する佐藤直子さん=小田原市立城山中学校、2019年1月25日撮影
紙芝居を使い、父・池田早苗さんの被爆体験を紹介する佐藤直子さん=小田原市立城山中学校、2019年1月25日撮影

 長崎の被爆者の体験を家族として語り継ぐ「家族証言者」の佐藤直子さん(54)が25日、小田原市立城山中学校(同市城山)で講話を行った。佐藤さんは、父が被爆者の被爆2世。父の体験などを紹介し、平和や核兵器廃絶を訴えた。

 「私は12歳の時、母と買い出しに行く途中、爆心地から2キロの所で被爆しました。原爆が落とされる8月9日、セミが鳴いている、暑い朝でした」

 佐藤さんはこの日、父・池田早苗さん(85)の手記が基になった紙芝居などを使い、長崎であった原爆被害について語った。

 1945年8月9日、池田さんは、山道を歩いていた時にB29の音を聞き、直後に緑の濃い光が目に突き刺さった。帰宅すると、爆心地から約800メートル地点の自宅はばらばらになっていた。自宅の外で遊んでいた6歳の妹は即死。1週間が過ぎた頃、2人の弟、妹、姉が次々と死亡し、両親も10年ほど後に他界した。

 池田さん自身も原因不明の病気で入退院を繰り返し、常に体に不安を抱えて生きてきたという。「戦争が憎い。原爆が憎い。核兵器が憎い。生き証人として、核兵器廃絶と平和のために生き続けていきます」。佐藤さんが、池田さんに代わり力を込めた。

 佐藤さんは「長崎被災協・被爆二世の会・長崎」会長などを務める傍ら、被爆者が高齢化する中で長崎市が被爆者の家族や知人などが継承の大きな役割を果たすと考え2014年度から開始した「語り継ぐ被爆体験推進事業」の「家族証言者」として、父の被爆体験を語り継いでいる。

 長男が中学1年になった時「この子に父と同じ怖い思いをさせたくない」と思い、平和活動を始めたという。「これから未来を築いていく皆さんに、これから先、戦争も、核兵器も使われない平和な世の中であってほしいという思いを託したい。ぜひ平和な世界をこれからも築いていってください」。そう語り、講話を締めくくった。

 同校は小田原市立中の中で唯一、本年度の修学旅行で広島市を訪れるなど、数年前から平和教育に注力。講話には生徒約200人が参加し、2年生の安藤奈津さん(14)は「初めて語り部から被爆体験を聞き、悲劇を繰り返してはいけないと思った。絶対に忘れず、これからも生活していきたい」と話した。

 
 

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