【時代の正体取材班=石橋 学】市民団体「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」は25日夜、差別の根絶に向け行政が着手すべき施策を論じる学習会を川崎市川崎区で開いた。市内で続くヘイトスピーチの被害と対策の現状を報告。「差別をなくそうと学び、取り組んできた市民の力で、実効性のある施策の推進を後押ししたい」と呼び掛け、人種差別を禁止し、処罰する条例の制定を訴えた。
2016年1月に結成した市民ネットワークの学習会は15回目。インターネット対策▽公的施設での差別的言動を防ぐガイドラインの見直し▽選挙活動におけるヘイトの防止-をテーマに現状と課題を報告した。
市はヘイト書き込みを検索するネットパトロールを4月に始めたが、基準作りが未整備で接続業者への削除要請は行われていない。「ネット上のヘイトは増え続け、消せないまま拡散している。市の取り組みは遅く、不十分」と指摘、個人の対処は困難で行政機関による禁止・救済措置が急がれるとした。条例の罰則対象に含めることも求めた。
ガイドラインを巡ってはヘイト団体の施設使用を不許可にするハードルの高さを問題視。要件の見直しと明確な根拠となる差別禁止条例が必要と訴えた。
また、極右政治団体・日本第一党が来春の市議選で無所属候補予定者の支援を表明している点を踏まえ、「選挙活動に名を借りたヘイトスピーチから外国人市民を守らなければいけない。市議会の各党の協力も求めたい」と訴えた。
市は20年3月の成立を目指し、差別撤廃条例の骨子を制定中。日本第一党は市のヘイト対策を「憲法違反」と攻撃し、市議選候補者の支援も条例制定阻止が目的と公言している。