相模原市役所に入ると、「未来の相模原」と名付けられたジオラマが来庁者を出迎える。ボタンを押すと、市北部を貫くリニア中央新幹線の模型が動きだす。
周囲には、市内で開発され2020年に地球に帰還する小惑星探査機「はやぶさ2」や駅前の高層ビル群の模型が立ち並ぶ。リニア完成予定の27年、市が描く未来は夢の超特急とともにある。
市内に建設される神奈川県駅(仮称)について、加山俊夫市長は「東京都市圏の約3600万人のうちの3分の1に当たる1200万人をカバーする」と語る。首都圏郊外のベッドタウンとして発展してきた地域が、県庁所在地の横浜を上回る日がやってくる、という思いがにじむ。
神奈川県駅は地下3階構造。JR横浜線、相模線、私鉄京王線の3線が交わる橋本駅前(同市緑区)の地下に整備される。5月に周辺の準備工事がスタート。駅前の県立相原高校は移転し、広大な敷地を開発する計画が進む。
市は大規模展示場や駅前広場、オフィス、ショッピングエリア、マンション整備などの構想を示しているが、具体的な駅周辺開発計画は定まっていない。
期待は膨らんでいるが、地元住民の見方は冷静だ。リニア誘致の署名を集めてきた駅周辺の商工関係者で組織する「リニアのまち橋本を育てる会」の真田勉会長(63)は「リニアが人を集めたとしても、まずは在来線をなんとかしないと」と現実を見据える。
在来線の駅とリニア駅は約250メートル以上離れている。乗り換えの利便性や駅周辺地区のにぎわいをつくるには、リニア駅と在来線駅の融合が欠かせない。新駅の象徴となる駅ビルの整備も必要だと感じている。
「横浜線の車両編成を増やし、輸送量を