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刻む2018〈8〉基地負担 「米軍に問い続ける」

社会 | 神奈川新聞 | 2018年12月23日(日) 00:12

厚木基地周辺に響く騒音の元凶となってきた米空母艦載のジェット機=2017年9月5日、厚木基地
厚木基地周辺に響く騒音の元凶となってきた米空母艦載のジェット機=2017年9月5日、厚木基地

 沖縄に次ぐ「第2の基地県」といわれる神奈川。相模原・県央地域では今年、米海軍厚木基地(大和、綾瀬市)を拠点とした米空母艦載機部隊の岩国基地(山口県岩国市)への移駐が完了した一方、米陸軍相模総合補給廠(相模原市中央区)ではミサイル防衛部隊の新司令部が駐留を開始した。被害のたらい回しと新たな基地負担。住民たちが翻弄(ほんろう)される日々は続く。

 厚木基地周辺の桜が春色に染まっていた3月末。米空母艦載機の岩国基地への移駐が完了した。2017年から段階的に進められ、計約60機が拠点を移した。

 移駐は日米両政府が06年に合意した在日米軍再編の一環。厚木基地周辺では艦載機の騒音解消が長年の課題で、移駐はその解決に向けた道筋として期待されてきた。

 空母艦載のジェット機が飛行すれば、電車通過時の線路脇に匹敵する100デシベル以上の音が計測される。「会話が途絶える」「子どもが怖がり泣きだす」。住民の生活に大きな影響を及ぼしてきたのだ。

 移駐完了後、同基地周辺の騒音測定回数(70デシベル以上、5秒以上継続)は減少傾向にある。滑走路北約1キロ地点では4月から9月にかけて6カ月連続で前年同期を下回った。

 100デシベル以上の測定回数もめっきり減った。国が今年4~5月の騒音状況を大和、綾瀬両市で測定したところ、いずれも28回。前年同期比で8~9割減だったと明らかにした。

 「静かになった印象はある」。地元からは変化を体感する声が上がる。穏やかな暮らしは訪れたのか。回数は減ったとはいえ、今もジェット機がひとたび飛来すればごう音が響く。基地の運用に左右される構図は依然として残っている。

 一方、岩国基地周辺では4月以降、騒音測定回数が急増した。移駐前の約2倍となる約120機が駐留、極東最大級の米軍航空拠点となった。

 計測地点がある基地南の尾津町では5月、滑走路が沖合に移設された10年以降、月別で最多の1402回を記録した。

 岩国市基地政策課は、騒音増加の要因について「一定期間、騒音や飛行実態を把握し、検証しないといけない」と慎重な言い回しに終始する。

 かねて指摘されてきた被害のたらい回し。騒音が増えた要因を明確に言えない職員の対応に、基地問題の根深さの一端を見る。それは基地に振り回される厚木基地周辺自治体や住民の姿とも重なった。

 移駐後も厚木基地周辺を悩ませているのが陸上空母離着陸訓練(FCLP)だ。

 
 

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