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イージス艦衝突 「石廊崎沖は海難多発海域」

社会 | 神奈川新聞 | 2017年6月20日(火) 02:00

横浜港に移動したコンテナ船ACXクリスタル=19日午前7時17分
横浜港に移動したコンテナ船ACXクリスタル=19日午前7時17分

 米イージス駆逐艦とフィリピン船籍のコンテナ船が17日未明に衝突した静岡・石廊崎沖は海難が多発する場所として知られる。船舶の流れをスムーズにして事故を防ぐため、国は近くの海域で2018年1月から、右側通行の「センターライン」を設ける。外航船などで普及が進む船舶自動識別装置(AIS)を活用し一定の効果が期待されるが、米艦艇などはAISの設置義務がない“盲点”もある。専門家は「海難を防ぐには機器に頼り切らず、適切な見張りが基本となる」と訴える。

 第3管区海上保安本部(横浜)によると、石廊崎沖は1日平均400隻が通行し「準輻輳(ふくそう)海域」と呼ばれる。特に東京湾内の港で荷役をする貨物船が夜明け前や日没後の時間帯に集中することもあり、この10年間に30件の海難が起きた。

 そのため、国際海事機関(IMO)は17年6月、伊豆大島の西方と伊豆半島の約25キロの間にセンターラインを設け、右側通行を強制しないが推奨するとした長さ約15キロの「推薦航路」を設定。海図のほか、AISを搭載した船舶の航海レーダー上に仮想の航路標識として表示することにした。

 3管交通部の黒岩真一航行安全課長は「航路を設けることで、この海域全体の船舶の流れがスムーズになり、海難が減ることが期待できる」とする。

 AISは衝突防止と海上交通管制に活用できる航海機器として、クルーズ客船や外航貨物船、大型内航船に搭載が義務化されている。しかし、軍艦など公船は除外されており、漁船などでは普及が進んでいないとの課題もある。


 石廊崎沖から東京湾へ向かう場合、伊豆半島と伊豆大島の間を抜けて一直線のルートになることから、貨物船は目的地点をあらかじめ入力し、機械装置により自動的に操縦する「オートパイロット」を機能させることがある。センターラインの新設により衝突のリスクが減り、オートパイロットが使いやすくなる効果があるとされる。

 東海大の山田吉彦教授(海洋政策)は「AISやオートパイロットを活用することは大事だが、オートパイロット中にトイレやたばこで操舵(そうだ)室が無人になるケースもある。海難を防ぐ基本は人の目。航海中は自らの目と耳、そしてレーダーを効果的に使って見張りを欠かさないことが重要だ」と指摘する。

 
 

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