
小惑星探査機「はやぶさ」のプロジェクトマネージャーを務めた川口淳一郎宇宙航空研究開発機構教授の講演が11日、杜(もり)のホールはしもと(相模原市緑区橋本)で開かれた。川口教授は、世界で初めて月以外の天体に着陸し、帰還したはやぶさの偉業を振り返り「高い目的意識の共有に基づくチームワークと、モチベーションの維持の成果だ」と強調した。
小惑星「イトカワ」への航行を通して、自動制御技術の実証などを目的としたはやぶさ。7年にわたる旅の途中、イトカワの試料回収のための弾丸が発射されなかったほか、地球との通信が一時途絶えるという危機に直面していた。
川口教授は当時を「科学技術全体の信頼を落としかねない、どん底の状況だった」と明かすも、「リーダーが成功の可能性を失ってはおしまい」として、前向きな姿勢を崩さなかったことを説明。その一方、ピンチのたびに神頼みをしたエピソードも披露し、笑いを誘った。困難を乗り越えて帰還したカプセルとの対面は「驚くほどきれいで、思わず感涙した」。
科学技術の前進のためには、リスクが伴う投資が不可欠として「高い塔を建ててみなければ、新しい水平線は見えない」と、挑戦する大切さを訴えた。
講演は相模原法人会が主催。宇宙航空分野の関連企業も出展し、技術力をPRした。
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