1. ホーム
  2. ニュース
  3. 社会
  4. 「国際ペン」が共謀罪に反対声明 浅田次郎さん「心強いが、恥ずかしい」

「国際ペン」が共謀罪に反対声明 浅田次郎さん「心強いが、恥ずかしい」

社会 | 神奈川新聞 | 2017年6月5日(月) 19:36

国際ペン会長の声明を読み上げ「共謀罪法案」の廃案を強く求めた日本ペンクラブ会長で作家の浅田次郎さん(右から2人目)=5日、東京都中央区の日本ペンクラブ本部
国際ペン会長の声明を読み上げ「共謀罪法案」の廃案を強く求めた日本ペンクラブ会長で作家の浅田次郎さん(右から2人目)=5日、東京都中央区の日本ペンクラブ本部

【時代の正体取材班=田崎 基】表現の自由を擁護する世界的組織「国際ペン」のジェニファー・クレメント会長は5日、いわゆる「共謀罪法案」の立法に反対する議決をするよう国会に強く求める声明を発表した。異例の声明に、作家で日本ペンクラブの浅田次郎会長は同日の記者会見で「国家として恥ずかしい。必要のない法律であって、廃案にすべき」と強調した。

 日本向けの声明は2013年に成立した「特定秘密保護法」に次いで戦後2例目という。原文は英文で同日、公表された。

 声明は、「日本政府の意図を厳しい目で注視している」と指摘。立法化されれば「日本の表現の自由とプライバシーの権利を脅かすものとなるだろう」「日本国民の基本的な自由を深く侵害することになる」と強い懸念を表明している。

 国際ペンは5月31日から3日間の会期でノルウェーで開催した委員会で日本の共謀罪についても議論し、緊急的に「会長声明」として警鐘を鳴らすことを決めたという。

 浅田会長は「こうした声明が緊急的に出されたことを心強く思うと同時に、本来は外国から指摘を受けるようなことがあってはならない、恥ずかしいことだ。ペンの精神の根幹に関わる問題でもあり、看過すれば言論が封殺されてしまう」と危機感をあらわにした。

 「島崎藤村が日本ペンクラブの会長だった時代、つまり80年前にも同じ議論がなされていた。この法律は日本の歴史の退行だ」と廃案を求めた。

 国際ペンは1921年に設立された国際組織で、100以上の国と地域に計149のセンター(支部)を擁する。日本ペンクラブはセンターの一つ。ジェニファー・クレメント会長はメキシコ出身の作家で、国際ペン初の女性会長として2015年に就任した。


 国際ペンのジェニファー・クレメント会長による共謀罪に反対する声明を受け、日本ペンクラブ会長で作家の浅田次郎さんと、言論表現委員長で専修大教授の山田健太さんが5日、記者会見を開いた。両氏の発言の概要は以下の通り。

「共謀罪立法は歴史の退行」

 

浅田次郎さん

 国際ペン会長の声明を大変重く受け止めている。国際ペンの憲法とも言うべき「ペン憲章」というものがある。その4条にはこうある。


国際ペン会長の声明を読み上げ「共謀罪法案」の廃案を強く求めた日本ペンクラブ会長で作家の浅田次郎さん=5日、東京都中央区の日本ペンクラブ本部
国際ペン会長の声明を読み上げ「共謀罪法案」の廃案を強く求めた日本ペンクラブ会長で作家の浅田次郎さん=5日、東京都中央区の日本ペンクラブ本部

 〈ペンは国内および諸国間において思想の伝達を妨げてはならないという原則を支持する。会員は自らが所属する国や地域社会、さらに全世界においても可能な限り表現の自由に対するあらゆる抑圧に反対することを誓う〉
 これは言ってみれば、言論・表現の自由を私たちは守っていこうという宣言であり、最も大切なペンの精神だ。

 このたびのいわゆる共謀罪は、そもそも実行行為がなくても犯罪が成立するという大変乱暴なもので、こういうことになると、冗談も言えなくなってしまう。

 言論・表現の自由を著しく侵すであろう。ペン憲章の根幹に関わる問題であって、言論が封殺される。


国際ペン会長の声明を読み上げ「共謀罪法案」の廃案を強く求めた日本ペンクラブ会長で作家の浅田次郎さん=5日、東京都中央区の日本ペンクラブ本部
国際ペン会長の声明を読み上げ「共謀罪法案」の廃案を強く求めた日本ペンクラブ会長で作家の浅田次郎さん=5日、東京都中央区の日本ペンクラブ本部

「やたら副作用が激しい薬」


 

山田健太言論表現委員長

 国連の特別報告者からも強い懸念が表明されていた。表現の自由に関する特別報告者も日本のメディアの独立性について政府が侵害していると指摘した。そして今回、国際ペンの会長からこうした声明が出された。

 国際社会が日本の状況を心配している。これに対する日本政府の対応は感情的で頭ごなしに、その指摘を全否定するような内容だった。


山田健太さん
山田健太さん

 これは異論を認めようとしない姿勢だ。日本政府には、真摯(しんし)に指摘を受け止め、理性をもって誠実に対応することを求めたい。

 結論ありきで異論を認めない姿勢は民主主義社会の基本ルールを根本から崩壊させる。「批判の自由」という「表現の自由」の中でも中核的な市民的自由を否定するものであって、決して見過ごせない。

 日本ペンクラブは共謀罪に対しこれまでも、反対の意思を示してきた。

 一方で「安全社会を壊すようなテロ行為を容認するのか」といった抗議も数多く届いている。

 ペンの理念からしても暴力が絶対に認められないということは言うまでもない。そのために有効なテロ対策がなされることは否定しない。むしろ必要だと考えている。

 しかしいま国会に提出されている共謀罪法案がテロ防止に役立つとは思えない、というのがペンの立場だ。

 実際、国会で政府から説明があったが、

この記事は有料会員限定です。

月額980円で有料記事読み放題/100円で24時間読み放題のコースも。詳しくはこちら

共謀罪に関するその他のニュース

社会に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング