【時代の正体取材班=石橋 学】ヘイトスピーチ解消法が3日に施行1年を迎えたのを受け、法の理念を具体化する人種差別撤廃条例の制定を川崎市に求める市民の集いが4日、同市中原区のエポック川崎で開かれた。ヘイトスピーチ問題に詳しい師岡康子弁護士は全国の自治体で進むヘイト対策を紹介しながら「川崎市は他の自治体のモデルになるよう取り組みを前進させてほしい」と求めた。
2013年から13回のヘイトデモが繰り返されてきた同市は、ヘイトスピーチが行われることが明らかな場合、公園など公共施設の利用を制限するガイドラインを今秋までに策定する。師岡弁護士は「行政が差別に手を貸すことは許されず、適切な施策」と評価しつつ、「施設を貸さないだけではヘイトスピーチはなくならない。根本にある差別の解消に取り組む条例が必要で、人種差別撤廃条約で課されている差別を禁止し、終了させる義務を果たすものでもある」と解説。ガイドラインの法的根拠になる条例の制定を同時並行で進めるべきだと説いた。