現在、全国に12万人以上いるとされる不登校の小中学生。「学校は通わねばならないところ」という強迫観念が本人、親を苦しめている。そんな苦悩を和らげ、周囲の理解を促そうと、当事者の親らがつくる横浜のNPO法人が発信に注力。伝えたいのは、「不登校は命の非常口」「まずは心と体をゆっくり休めることが必要」といったメッセージだ。
横浜市鶴見区のJR鶴見駅西口から歩いて7分ほど。ビルの一室に、NPO法人「子どもと共に歩むフリースペースたんぽぽ」の拠点はある。理事長を務める青島美千代さん(58)ら、学校へ行かない子どもの親たちが、子どもが安心して過ごせる場をと、2008年に開設。14年にNPO法人となった。
ここでは、みんなで食事作りをしたり、工作をしたり。流しそうめんを企画することもあれば、カラオケへ行くことも。中高生世代を中心に、15人ほどが利用している。
「当初から、学校へ行くことを目的としていない。もちろん、進学を希望する子どもに対しては支援するが、勉強を強制することはない」と青島さん。居場所に集い、楽しく過ごしていく中で、一人一人が「次の一歩」を見つけていけばいい、との考えだ。
「うてなの会」と称した親の会も活動。資金集めのためのバザーや交流会を開催、親やサポーターたちがつながり、気軽に相談できる環境もつくっている。
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現在、調理師として働く青島さんの息子(23)は、小学5年生の頃から不登校となった。いじめがきっかけだった。
このままずっと学校へ行かず、仕事にも就けなかったら…。青島さんは