
梅雨時期の豪雨やその後の猛暑など、記録ずくめの異常気象で、県内でも農作物の販売などに影響が出ている。中でもサラダなどに欠かせない葉物野菜の価格が高騰し、夏の食卓を直撃。しばらくはこの状況が続く可能性があるとして、スーパーでは野菜を小分けにして販売し、単価を抑えるなど知恵を絞っている。一方、猛暑のおかげで三浦産などのスイカは平年並みの価格で好調な売れ行きだ。
横浜市神奈川区の30代の主婦は、子ども2人を連れてスーパーに買い物に来たが、1袋200円を超えるホウレンソウの価格を見て悩んだ。結局、購入したが、「子どもが夏休み中なので食費がかかる上、野菜が高くて困る」とこぼす。
横浜市中央卸売市場(横浜市神奈川区)の青果卸売業者によると、7月下旬はレタスの価格が前年同期比で35%上がり、キャベツも同34%上昇。レタスの産地の長野県、キャベツの産地の群馬県などで、梅雨時期の後半に集中豪雨が多発した上、その後の猛暑も影響し、芯が細いなど品質がそろわず、入荷量が減っているためだ。
東北産の葉物野菜も、暑さの影響で生育期間が短くなりすぎて葉肉が薄くなり、収穫段階で傷んでしまうなどして、入荷量が減っている。ホウレンソウの価格は同37%、コマツナも同61%の上昇だ。
卸売業者は「これほどの厳しい暑さは、ここ15年ほど経験したことがない」と農作物への影響を心配する。
県内で52店舗を展開する相鉄ローゼン(本社・横浜市西区)でも、8月に入ってからレタスの販売価格が前年同期比に比べて8割も上がった。キャベツも4~5割高い。商品本部農産部では「本来、夏は野菜が安い時期なのだが…」と天候不順を嘆く。
いずれも一玉200円を超えているため、買いやすくしようと、小分けにして単価を100円以下に下げて販売。4分の1に小分けしたキャベツがよく売れており、レタスやホウレンソウの小分け販売も好評だという。
ほかにもレタスの代替品にベビーリーフをそろえたり、暑さでひびがはいったトマトなども安く販売したりと工夫を凝らす。価格が安定するまであの手この手で乗り切りたい考えだ。
一方で、猛暑の恩恵を受けている農産物もある。
三浦市で収穫期を迎えたスイカは、春先の低温や日照不足で、平年より2週間ほど遅れて収穫が始まったが、ここ数週間の猛暑で成熟が早まり、盛り返した。市農業協同組合では「雨や涼しさで値が極端に落ち込んだ昨年とは違い、今年は暑さのおかげで平年並みの価格で販売できている」と、胸をなで下ろしていた。
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