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違法搬送、捜査のメス 霊柩車の無許可営業

社会 | 神奈川新聞 | 2017年5月24日(水) 02:00

無許可の霊柩車で遺体を搬送していたとして書類送検された葬祭業者=海老名市
無許可の霊柩車で遺体を搬送していたとして書類送検された葬祭業者=海老名市

 「白ナンバー」の霊柩車で遺体を搬送していたとして、県内や都内の葬祭業者が県警に摘発された。業界に長年はびこる全国的な課題だっただけに、国から許可を得て営業している県内の葬祭業者は「警察による無許可業者の摘発は喜ばしい」と歓迎している。

 全国霊柩自動車協会によると、白ナンバーの霊柩車は以前から「出ては消え、消えては出てくる」存在という。リーフレットなどで「霊柩車の違法な搬送を許しません」と注意を呼び掛けているが、なくならないのが実情だ。

 背景には、コストを免れる目的がある。国の許可を得る手続きには、行政書士への報酬や税金などで約50~100万円の費用がかかるほか、営業所や車庫、乗務員の休憩・睡眠施設なども必要になる。

 許可取得後は国の管理・監督を受けることから、ある行政書士は「金銭的負担に加え、管理・監督を煩わしいと考え許可を取らないのかもしれない」と指摘。書類送検された業者も、県警の調べに「増車に必要な運行管理者と整備管理者を雇う(資金的な)余裕がなかった」「2回ほど許可を取ろうとしたが、途中で面倒になって断念した」などと話しているという。

 一方、今回の摘発の端緒は川崎市の情報提供だったものの、行政のチェックは厳しいとは言えない。

 公営の火葬場がある県内自治体の職員は「白ナンバーが出入りしており、好ましくない」と把握しながらも、「白ナンバーで遺体を運んできたからといって、火葬しないわけにはいかない」と明かす。別の自治体職員も「霊柩車が許可を受けているかどうかよりも、時間通り来るかどうかの方が気になる」と言う。

 ただ、同協会の担当者は「許可を受けていなければ会社の資金力も不透明。例えば事故が起きて遺体に傷がついてしまった場合などには、責任問題でトラブルになりかねない」と、利用者に影響しかねない問題と強調する。今回の摘発を契機として、全国的に取り締まりが強化されていくことに期待を寄せている。

 
 

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