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「監視の内面化」懸念 「共謀罪」強行採決受け、清水雅彦・日体大教授に聞く

社会 | 神奈川新聞 | 2017年5月20日(土) 11:30

「録画の告知や運用ルールが不十分だ」と監視カメラを例に監視社会への懸念を語る清水雅彦教授=横浜市青葉区の日体大
「録画の告知や運用ルールが不十分だ」と監視カメラを例に監視社会への懸念を語る清水雅彦教授=横浜市青葉区の日体大

 「共謀罪」が招くと懸念される監視社会。その危うさとは、人々が言動を自主規制する「監視の内面化」だ。憲法学が専門の清水雅彦・日本体育大(横浜市青葉区)教授は、防犯を名目に普及した監視カメラを例に問う。「録画されても問題ない振る舞いを、無意識のうちに演じていないか」

 「一般人が対象になることはない」。政府は「共謀罪」法案の国会審議でそう繰り返した。だがテロ対策を理由に、事前の相談の段階で犯罪を認定する法案には「誰もが犯罪者となり得る」との疑心暗鬼が潜む、と清水教授は指摘する。言い換えれば、監視対象は全ての「一般人」となる。

■不安感に「便乗」


 監視カメラは今や当然の存在だ。プライバシー権侵害の恐れは拭えないが、映像がニュース番組に頻繁に提供され「犯罪捜査に役立つ」と“市民権”を確立した。「治安への不安感に便乗し、警察は権力を拡大してきた」(清水教授)
 だが治安は必ずしも悪化していない。刑法犯認知件数は2002年の約285万4千件をピークに減少、昨年は戦後最少の99万6千件を記録。しかも、その7割以上を経済状況に左右される窃盗などが占める。

 清水教授は、1990年代以降の新自由主義的改革が一因とされる雇用、生活環境の悪化を挙げ「困窮を原因とする犯罪を減らすよう、社会の根本をまず改めるべきだ」と訴える。

■「家畜化」の未来


 一方で「共謀罪」法案が「治安維持法の再来」「戦前回帰」とされることに、清水教授は違和感を覚える。むしろ、戦前よりも事態は複雑で厄介だからだ。「軍事独裁政権のような国家の強権が統制する可能性は低い代わりに、民間企業も監視主体になり得る」

 Suica(スイカ)やPASMO(パスモ)などICカード乗車券、クレジットカード、ポイントカード、道路の自動料金収受システム(ETC)…。

 移動や消費が記録されマーケティングに反映されることへの無自覚。自由に生きているようで、実は国や企業が設定した範囲に“生かされて”いる。死角のない監視網の前に、人々は言動を自重する-。これこそ「監視の内面化」だ。

 エドワード・スノーデン元米中央情報局(CIA)職員が暴露した米政府による個人情報収集を引き合いに、清水教授は「共謀罪」が監視の常態化を招き、人間の「家畜化」に行き着くと憂慮する。「監視社会はもう始まっている。主体的な人間の在り方を取り戻すべきではないか」

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