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性的少数者の就労(上) 「存在知ってほしい」

社会 | 神奈川新聞 | 2017年5月20日(土) 09:16


「自分を偽ることなく仕事ができ、とても楽になった」とかみしめる樋口さん=横浜市青葉区
「自分を偽ることなく仕事ができ、とても楽になった」とかみしめる樋口さん=横浜市青葉区

 「ゲイがいるとエイズがうつるよね」。同僚たちが横で、悪びれずに言う。配属2日目には、上司に「見た目がまじめすぎる。風俗に行け」と促された。

 男性同性愛者の樋口康さん(41)=横浜市青葉区=は、差別的な言動が飛び交う職場に13年間、身を置いた。

 新卒で大手広告代理店に就職したのは、20年ほど前。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー(LGBT)らの顧客向けの市場に触れ、「性的少数者の地位向上に貢献したい」との夢に燃えていたという。

 だが、同性愛者である自身のアイデンティティーをひた隠しにするストレス、そして激務が心をむしばんでいった。うつ病の診断を受けて休職したのが36歳の頃だった。

 半年後に復職した部署でも「あの人、ゲイっぽいよね」「きもーい」といった同性愛者をやゆする会話が繰り返された。「ここで自分がゲイであることを公表したら、どうなっちゃうんだろう」。絶望の淵に落とされた気がした。約2年後、会社を去った。

職 場


 性的指向や性自認などのセクシュアリティーを気にせず働くことは、多くの性的少数者にとって高い壁となっている。

 性的少数者が働きやすい職場づくりを目指すNPO法人「虹色ダイバーシティ」(大阪市)と国際基督教大ジェンダー研究センター(東京都)が2016年、LGBTら当事者1645人と非当事者614人に行った職場環境アンケートでは、当事者の約6割が「職場で差別的言動が多い」と答えた。具体的には「同性とルームシェアをしていたと話したら『気持ち悪い』と言われた」「『普通じゃない人はなかなか正社員にはできない』と上司から言われた」など。カミングアウトをしたら採用を撤回されたり、「あいつゲイっぽいよな」と同僚が笑いのネタにされたりするケースもあった。

 
 

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