箱根山の噴火警戒レベルが3(入山規制)に引き上げられた場合に、損害の有無にかかわらず一定額が支払われる金融派生商品「噴火デリバティブ」の説明会が始まった。用途の自由な決裁金が支払われる商品に事業者から歓迎の声が上がる一方で、レベル3以下でも企業活動に影響があることから条件設定に疑問の声も聞かれた。18日まで、箱根町や小田原市内で開かれる。
販売元の東京海上日動火災保険によると、噴火デリバティブは、昨年11月の試験販売を経て同12月に商品化。気象庁の警戒レベルが3以上に引き上げられた場合、(1)その期間に応じて決裁金を支払う(2)期間に限らずに所定の金額を一括で支払う-タイプがある。
(1)はレベル3以上の期間に応じて、300日を上限に、1日最大20万円が支払われる。(2)は1日でも3以上に引き上がれば、最大5千万円が支払われる。どちらも契約期間は1年間。保険ではカバーできない風評被害による減益を補填(ほてん)できるのも特徴で、同社の担当者は「損害査定の手続きが不要のため、素早く支払いができる」と強調する。
小田原箱根商工会議所が会員企業など向けに主催する説明会は、11日にスタート。箱根町内で旅館を営む事業者は「噴火で経営に大きな打撃を受け、客足は一時、半分以下になった」と振り返り、「社内でよく検討したい」と述べた。契約に前向きな出席者が多く、同社はニーズの高まりを感じているという。
ただ、参加した事業者からは疑問の声も。レベル3以上で線引きしていることに、ある企業は「レベル2(火口周辺規制)でも、経済損失が出る可能性は大きい」と見直しを求めたが、同社は「被害が出るのは承知しているが、現状はレベル3以上としている」と理解を求めた。
説明会は、17日に同商議所(小田原市城内)、18日に仙石原文化センター(箱根町仙石原)で、それぞれ午後3時から行われる予定。申し込み・問い合わせは、同商議所箱根支部電話0460(85)6245。