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政治に翻弄、経験描く 15日から横浜美術館
舞台発「日中友好」を 青葉区出身・俳優の小松さん

社会 | 神奈川新聞 | 2017年5月15日(月) 10:27

「3年前の君へ」の稽古に励む出演者。左から3人目が小松さん
「3年前の君へ」の稽古に励む出演者。左から3人目が小松さん

 日本と中国で芸能活動を行う俳優の小松拓也さん(39)が主宰する演劇プロジェクト「Team Moshimoshi?」(チームモシモシ)が、横浜と姉妹都市の上海で舞台「3年前の君へ」を上演する。日中の政治・外交に翻弄(ほんろう)された自身の体験を糧に、演劇を通じて双方が理解を深め、微妙な関係になりがちな両国の友好につなげることを目指している。

 舞台は、日本人男性と中国人女性のラブストーリーが軸。異なる習慣や文化によるすれ違い、家族の問題に振り回される2人が、曲折を経てともに成長する姿を描く。小松さんは出演と脚本、プロデュースを担当。中国出身の俳優も出演し、中国語のせりふには日本語の字幕が付く。

 小松さんは横浜市青葉区出身で、高校生の時にスカウトされた。所属事務所に中国語を学ぶことを勧められて台湾に留学。その後、日台を行き来しながら芸能活動に励んだ。

 転機は2007年。中国本土での大規模なオーディション番組で人気を集めて、一気に知名度が上がってテレビや映画に出演。10年の上海万博では、横浜をPRするイベントの総合司会を担当した。

 順調だった活動は12年の尖閣諸島国有化で一変した。決まっていた仕事が全てなくなり、活動もできなくなった。過去の日中間の政治問題とは比べものにならない窮状に、「どこまでいっても、中国にいれば外国人」と翌年に帰国した。

 日中友好に尽くす人は多いのに、国同士の問題で簡単に吹き飛んでしまう。「その事実が日本に伝わっていないことも、もどかしかった」。日本で芸能活動を再開しようとしたが、中国での経歴に偏見を持つ人も少なからずいて、後ろ向きになることも多かった。

 救いになったのは中国のファンからのメッセージだった。「いつ中国に戻るの」「応援しているよ」。日本のテレビドラマで中国人将校を演じたことも契機になり、15年にチームモシモシを立ち上げた。

 公演は今回が3回目。15、16年は上海のみで行い、日中両国での上演は初めてだ。今回の舞台には自身の体験も織り込み、「摩擦も含めて成長がある」を主題にした。上海では8月に公演する予定で、その後の映像化も視野に入れる。

 このところ、訪中するたびに「日本に旅行する中国人が増えたせいか、日常レベルでは『日本が好き』という人が多くなった」と感じるという。日本のマナーや礼儀を、中国側が学んでいると思うことも増えた。「今年は日中国交正常化45周年の節目の年。中国も変わりつつあり、触れ合えばいい人もたくさんいる。公演を、嫌いだと思うだけでなく、触れてみませんか、という問題提起にしたい」と意気込む。

 横浜公演は、横浜美術館レクチャーホール(同市西区)で、15~17日(午後6時半開演)、19日(同5時半開演)に行われる。当日5千円。問い合わせは、チームモシモシ電話070(3315)5588。

 
 

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