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建物メンテナンス作業での被災初認定、被害者拡大の懸念も/横須賀基地石綿被害

社会 | 神奈川新聞 | 2009年7月11日(土) 00:00

さまざまな建物で断熱材として使われきた石綿(アスベスト)。長期間さらされることで悪性中皮腫などが20~40年後に発症するといわれ、”静かな時限爆弾”と例えられる。県内では、住友重機械工業の造船所の元従業員や、在日米海軍横須賀基地の艦船修理の元従業員による国への損害賠償請求を機に被害実態が広く知られるようになった。今月6日には、横浜地裁横須賀支部が、同基地の艦船修理以外の建物メンテナンス作業での被災を初めて認定した。今後、対策が遅れてきた基地ばかりでなく、多様な職種で被害者が出続けるとの指摘も出ている。

「主人が病気で苦しんできたことを胸に闘ってきた。良い結果が出たと報告したい。主人は犠牲になって亡くなった。今後、二度とこうした被害が出ないよう対策をとってほしい」

米海軍横須賀基地でエアコンの取り付け作業などに従事していた元基地従業員の對間(たいま)均さん。2006年4月、アスベスト被害特有の悪性中皮腫と診断された。アスベスト対策が不十分だったため中皮腫になったとして、07年5月に提訴したが、直後に容体が悪化して51歳で亡くなった。訴訟を引き継いだ妻の美枝子さんは、国の安全配慮義務違反を認めた同支部の判決公判の後、同様の被害者の救済、被害の拡大防止を訴えた。

對間さんは約20年にわたり同基地での作業を通じてアスベストにさらされた。悪性中皮腫と診断されて手術を受け、制がん剤治療で入退院を繰り返し、胸や背中の激痛と闘ってきた。「今後の人のために裁判を起こしたい」-そんな強い思いで提訴に踏み切ったという。

全国の在日米軍基地では、建物の断熱材などでアスベストが広く使われており、對間さんの訴訟代理人の古川武志弁護士は「アスベスト被害は、全国の元基地従業員らに潜在している可能性が高い。今回の判決で、今後、(発症までの)20~30年の長期にわたり、被災者が出る可能性があることがはっきりした」と指摘する。

さらに、長年アスベスト被害者を支援してきた特定非営利活動法人(NPO法人)「じん肺アスベスト被災者救済基金」(横須賀市)は、「艦船修理以外の職場の人たちにも、すでにアスベスト被害が広がっている」と指摘する。

2005年に大手機械メーカーのクボタが、かつてアスベストを扱っていた兵庫県尼崎市内の旧工場で、従業員だけでなく周辺住民にも健康被害が出ていると公表。これまでアスベスト被害は大量に吸い込んだ従業員らに起きる労災だと考えられてきたが、近隣住民にまで広がっていたことが明らかになった。

国内では1975年に吹き付けアスベストが禁止になるまで、校舎やビルなどさまざまな建物で断熱材として使われてきた。現存する建物の多くにまだアスベストが残っており、同基金によると、元教師や元銀行員などアスベストと密接に関係していなかった職種でもアスベスト被害が出始めているという。

厚労省によると、アスベストによる肺がんや中皮腫で労災認定を受けた人は04年度の186人から、05年度は715人に急増。08年度はさらに増え、1063人と過去2番目に多かった。職種も建設業、製造業、運輸業、小売業など多岐にわたり、今後もさまざまな場所でアスベスト被害者が出続けるとみられている。

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