政府の地震調査委員会は27日、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率などを地点別に示した2017年版の「全国地震動予測地図」を公表した。横浜市は16年版と同じ81%で、85%の千葉市に次いで全国の都道府県庁所在地で2番目に高い地点となった。
委員長の平田直東大地震研究所教授は「震度6弱以上の揺れになると、1981年5月以前の旧耐震基準の木造住宅は倒壊する可能性が高まる」と指摘。耐震改修や家具固定などの対策を各家庭や職場で講じるよう促した。東日本大震災時に神奈川県内で観測された最大震度は5強だった。
予測地図に示された地点ごとの揺れの確率は昨年6月に公表された16年版と大きく変わっていないが、首都圏は太平洋側を中心に高確率の地点が多い。水戸市は横浜市と同じ81%。さいたま市55%、東京都新宿区47%などとなった。30年以内の発生確率がともに70%とされている首都直下地震や南海トラフ巨大地震が起きると、強い揺れが見込まれるためだ。
さらに、軟らかい地盤が分厚く堆積していることも影響し、「日本のどこでも強い揺れに見舞われる恐れがあるが、首都圏は特に揺れやすい」と平田委員長は注意を促す。今回の予測地図では、より精密な地盤の調査データを活用し、各地の揺れやすさの状況を詳細に分析したという。
首都圏以外で確率が高いのも太平洋側の地域で、南海トラフの影響が大きい高知市(74%)や徳島市(72%)、静岡市(69%)、津市(63%)、和歌山市(58%)、大阪市(56%)などが目立った。さらに、同様の海溝型巨大地震の恐れがある北海道の浦河町(65%)や根室市(63%)も高い確率が示された。
伊勢原断層、600万人超に揺れも
2017年版の全国地震動予測地図では新たな試みとして、主な活断層で地震が起きた際の「震度暴露人口」も公表された。県内の活断層では、伊勢原断層が活動すると600万人前後が震度6弱以上の揺れに見舞われるとの予測になった。
新たな評価手法に基づき震度暴露人口が公表された県内の活断層は、横須賀市などに密集する三浦半島断層群主部の衣笠-北武断層帯と武山断層帯、伊勢原市などに南北に延びる伊勢原断層、県西部に分布する塩沢断層帯と平山-松田北断層帯。地震発生の時間帯によって周辺地域の人口分布が異なるため、各断層について夜間、昼間の両方の暴露人口を算出した。
この中で6弱以上の揺れに見舞われる人数が最も多いのは、伊勢原断層で夜間に地震が起きた場合の616万9834人。県央、湘南地域を中心に相模原市や横浜市など人口の多い自治体で強い揺れが見込まれるためで、昼間でも553万1730人と予想された。
次いで三浦半島断層群主部の衣笠-北武断層帯の526万8414人(夜間)が多く、同断層帯主部の武山断層帯の254万7470人(昼間)が続いた。
平山-松田北断層帯は最も多いケースで昼間、夜間とも100万人に迫り、塩沢断層帯はいずれの場合でも、静岡、山梨県内も含め20万人ほどだった。
【県内の主な活断層周辺で震度6弱以上に見舞われる人口】
昼間
三浦半島断層群主部
(衣笠-北武断層帯)492万3116人
(武山断層帯)254万7470人
伊勢原断層553万1730人
塩沢断層帯21万7761人
平山-松田北断層帯99万3674人
夜間
三浦半島断層群主部
(衣笠-北武断層帯)526万8414人
(武山断層帯)243万6088人
伊勢原断層616万9834人
塩沢断層帯20万8203人
平山-松田北断層帯99万8133人