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耐震偽装被害の元住民代表、老朽物件の相談支援開始へ/藤沢

社会 | 神奈川新聞 | 2013年10月31日(木) 00:17

2005年に発覚し、全国を震撼させた1級建築士による耐震強度偽装事件。100件近い被害物件の一つとして新築マンションの解体を余儀なくされ、4年半後の再入居まで住民の合意形成に努めた鈴木元生さん=藤沢市=が、その経験を社会に役立てようと第二の人生に踏み出している。今後、急増する老朽化マンション対策の相談支援を始める。「転んでしまっても何か握って立ち上がろうということですかね」と、鈴木さんは笑う。

05年11月。藤沢駅近くに完成したばかりのマンション「グランドステージ藤沢」に入居した。「よかった。よかった」と胸を弾ませていたわずか約2週間後、耐震偽装が発覚した。震度5弱で倒壊する恐れがあると診断された。「特に1階だったので、すぐにホテルに避難です」。大学生だった長男と妻の3人で年の瀬に慌ただしく賃貸住宅に移り、不安な新年を迎えた。住めない新居のローンを払いながら再建を目指す長い道のりが始まった。

市や国の補助で建物は解体されたものの、住民が再建協力を求めたゼネコン5社が辞退するなど苦境の連続だった。住民の会を代表し、所有者同士の話し合いや行政、事業者との折衝、マスコミ対策などを担った。「こんな偽装事件で人生が狂わされるのは我慢ならない。建て直して同じところに住んでやる」。その思いは人一倍強かった。

再建計画は横浜市にあるデベロッパー「リッチライフ」が提案。1世帯の一部をワンルームに分割し、その賃貸分で二重ローンを軽減する仕組みが柱だ。08年2月の建て替え決議ではほぼ全世帯が賛成。法定の5分の4以上をクリアし新たなマンションは、10年4月に完成した。

ようやく過去を振り返るゆとりも生まれた。12年9月、会社を退職。「社会とつながりのある仕事を続けたい」。建設会社に勤めた知識もある。さまざまな事情を抱える住民の合意を取り付けてきた一連の経験を生かしたい、と温めてきた思いを行動に移した。今年1月、一般社団法人「老朽化マンション対策支援協会」(横浜市中区)を立ち上げた。

都市部を中心に高度成長期に建てられたマンションは老朽化が進む。旧耐震基準で築30年以上のマンションは100万戸以上と見込まれ、国も建て替え促進策を検討している。

「1人暮らしの高齢者世帯も増えている中、建て替えや大規模修繕を実現するのに一番苦労するのは住民の合意形成だと思う。経験者として、皆が納得できる結論が出せるようお手伝いをしていきたい」。これから、本格的な相談支援を始めていく。

◆耐震強度偽装事件

1級建築士が地震時の圧力を低く入力するなどして建物の構造計算書を偽造し、地震で倒壊する恐れのあるマンションやホテルが建設、販売された事件。国土交通省が2005年11月に公表し、建築士による偽装物件は18都府県で計99件確認された。建築士は08年に建築基準法違反などの罪で有罪判決が確定。事件後に建築基準法や建築士法が改正され、罰則が強化された。

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