他にはない神奈川のニュースを!神奈川新聞 カナロコ

  1. ホーム
  2. ニュース
  3. 社会
  4. ネパール地震から2年  学びや復興の象徴に  東京都市大教授 再建支援呼び掛け

ネパール地震から2年  学びや復興の象徴に  東京都市大教授 再建支援呼び掛け

社会 | 神奈川新聞 | 2017年4月26日(水) 14:43

再建された教室(左)の完成を喜ぶ生徒ら(リジャル教授提供)
再建された教室(左)の完成を喜ぶ生徒ら(リジャル教授提供)

 学びやを復興のシンボルに-。2年前に故郷のネパールを襲った大地震で被災した小さな村の学校を再建するため、東京都市大環境学部(横浜市都筑区)のリジャル・ホム・バハドゥル教授(47)が奔走している。同国政府の支援が滞り、海外からの寄付などに頼らざるを得ない状況だからだ。日本で集めた資金で平屋建ての教室が昨秋にようやく完成したが、風雨にさらされる仮設の教室で今も多くの生徒が学び、被災前の教育環境には程遠い。リジャル教授は「頑丈な教室を増やし、災害時には村人が避難できるようにしたい」と青写真を描く。 

 ネパール大地震は2015年4月25日に発生し、周辺国も含め約9千人が犠牲になった。首都カトマンズに近く、リジャル教授が生まれ育ったサッレ村(標高約1500メートル)の学校は壊滅的な被害を受け、17ある教室のうち15教室が全半壊した。

 心を痛めたリジャル教授はまず1教室の再建をと、インターネット上で資金を募るクラウドファンディングで資金を調達。寄付や募金も寄せられ、集まった約140万円を現地に提供した。

 カトマンズで建築を学ぶ大学生グループの協力で昨年10月に完成した待望の1教室は、構造は従来と同じ石積みながら、地震に耐えた図書室の構造を参考に接合部を粘土からセメントに変え、鉄筋のはりや基礎を加えることで強度を高めた。パソコンや理科の授業で使用しているが、「さらに10教室程度の再建が必要」とリジャル教授。現在通っている生徒約200人の多くが学んでいる仮設の教室は、廃材も材料に地震後に建てられたため傷みが激しく、「隣の教室の声が聞こえてきて環境も悪い」ためだ。

 しかし改善の道筋は見えておらず、当初は政府が対応するとされた一部教室の再建は、今も果たされぬまま。設備の故障で村への電力供給が途絶える中、相模原市や真鶴町の有志らの寄付で着工された次の教室も建設の中断を余儀なくされており、作業を進めることが困難な雨期が6月に迫ってきた。「現地の支援団体から、必要な資金(約800万円)の半分をこちらが負担できるのであれば、8教室程度の再建を支援する用意がある、との新たな提案を受けている」ものの、資金確保のめどは立っていない。

 地震から2年を経て、村人の生活再建にも格差が目立ち始め、「資金があり、いち早く住まいを建て直した人がいる一方、小屋などでしのいでいる人も少なくない」とリジャル教授。「ただ、耐震性のある教室を建てたことで、『家も同じように強くする必要があることを学んだ』といった声が生徒や教師の間から上がっている。村人の意識を変えるきっかけにもなった教室の再建をさらに進めていきたい」と、日本発の支援に対する協力を引き続き求めている。

◇ 学校再建への寄付は、NPO法人「バル・ピパル奨学基金」(郵便振替口座00930-4-265848)で受け付けている。問い合わせは、同法人の代表でもあるリジャル教授電話090(8569)6106。


被災した学びやの写真を前に、故郷への思いを語るリジャル教授=横浜市都筑区の東京都市大横浜キャンパス
被災した学びやの写真を前に、故郷への思いを語るリジャル教授=横浜市都筑区の東京都市大横浜キャンパス
 
 

地震に関するその他のニュース

社会に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング